キュービクルの主な機能と構造を解説!各機器の役割を知ろう

キュービクルは、高圧電力を受電し、低圧電力に変換して各電気設備に配電するなど、複数の重要な機能の組合せでできています。キュービクルがこれらの役割を果たしてくれるおかげで、様々な電気設備が使用できるのです。

この記事では、キュービクルの主な機能を紹介し、各機能の構造を解説していきます。

キュービクルの主な機能と構造

キュービクル(cubicle)は、電力の供給や配電に使用される小型の変電設備で、主に工場やビルなどの施設で利用されます。以下に、キュービクルの主な機能と構造についての表を示します。

要素機能構造
受電部電力会社から供給される電力を受け取り、施設内に供給する高圧受電装置や計器類(電力量計、電圧計など)が設置されている
変圧器部高圧の電力を使用可能な低圧に変換する油入変圧器またはドライタイプ変圧器が用いられ、絶縁材で囲まれている
配電盤変圧された電力を各負荷(機器やシステム)に分配するブレーカーやヒューズが配置されており、各回路に電力を分配する役割を果たす
制御・保護装置電力の流れを監視し、過電流や短絡時に回路を遮断する過電流保護用のリレー、遮断器(ブレーカー)、アース(接地)装置などが組み込まれている
通信用装置電力システムの監視や管理を遠隔で行うための通信インターフェースを提供する通信モジュールやSCADAシステムとの接続が可能で、データの遠隔監視や制御が行えるようになっている
冷却装置変圧器や配電装置の発熱を抑えるための冷却を行う空気冷却、油冷却、または強制風冷式などの方法が用いられ、適切な温度を維持する
外装・保護ケース設備を外部環境や異物から保護し、事故を防止するための外装金属製のケースや防火素材で作られており、施錠可能なドアや点検窓がついている

備考:

  • キュービクルは、主に高圧電力(6.6kVなど)を受けて低圧(200Vや400Vなど)に変換し、施設全体に電力を供給する設備です。
  • 安全性を確保するため、定期的な点検やメンテナンスが重要です。
  • 法律で設置基準が定められており、設置や改修には専門の技術者の資格が必要です。

この表は、キュービクルの基本的な理解を助けるためのものです。具体的な機種や設置場所によって、構成や仕様が異なる場合があります。

キュービクルが持つ主な機能

キュービクルには、主に受電・変電・配電の3つの機能があります。さらに、力率の改善や複数の電源系統の連携など、様々な機能を組み込みことが可能です。

高圧電力の受電

電力会社から供給される6,600Vの高圧電力を安全に受け入れる機能です。この過程では、電力の安定供給と安全性の確保が重要となります。

単に電気を受け取るだけでなく、メンテナンスや工事の際に電力会社の電力網からキュービクルを切り離したり、キュービクル内や二次側で発生した電気の事故が周辺地域に波及することを防いだりする重要な役割です。

また、料金の精算に必要な使用電力量の計測などの機能も組み込まれます。

低圧電力への変電

受電した高圧電力を、建物内で使用可能な低圧電力に変換する機能です。この変換により、一般的な電気機器が使用可能になります。

一般に使用される低圧電力には、単相3線式100/200Vの電灯電力と、三相3線式200V、三相4線式400Vの動力電力があります。電灯電力は照明器具やコンセントなど、一般家庭でも良く使用される電力です。それに対し、動力電力は大型の空調設備や工場の工作機械など、より大きな電力を使用する機器に用いられます。

キュービクルを設置する規模の建物であれば、電灯電力と動力電力が必要であることが多いため、両方の電力に変換する機能が必要です。

各電気設備への配電

変換された低圧電力を、建物内の様々な電気設備に適切に分配する機能です。これにより、必要な場所に必要な電力を供給します。

配電には、建物内の電気設備をエリアや用途によって分け、負荷を適切に分散させることで、より安全かつ効率的に電気を使用できるようにする重要な機能です。回路ごとに電気の流れを管理することで、電圧降下や電圧変動を最小限に抑え、安定した電力供給を実現します。

これにより、電気の事故が発生した際に、建物全体に波及することが防止できます。また、必要に応じて特定の回路への電力供給を遮断したり、再開したりすることも可能になります。

その他の機能

キュービクルには、受電・変電・配電の主要機能以外にも複数の機能を持っています。

  • 需要場内の力率改善:電力の効率的な利用を促進し、電気料金の削減にも寄与します。
  • 非常電源の確保:停電時に備えて、重要な設備への電力供給を確保します。
  • デマンド制御:電力使用量のピークを抑制し、契約電力量を超えないよう管理します。
  • 電力系統の連携:太陽光発電設備などがある場合、系統連系を行い、安定した電力供給を実現します。

ここにあげた機能は、キュービクルに組み込むことができる機能の一部です。キュービクルは建物全体の電気を管理する設備であるため、必要に応じこの他にも様々な機能が組み込まれることがあります。

高圧電力の受電を行う機能の構造

高圧電力の受電部分は、主に以下の機器で構成されています。

断路器・開閉器・遮断器

高圧回路の電路の開閉や電流の遮断を行うために高圧用の断路器・開閉器・遮断機を設置します。

断路器は、負荷電流の流れていない状態で回路の開閉を行うための装置です。メンテナンスなどの際に電力会社の電力網と切り離すために使用します。

高圧交流負荷開閉器(LBS)は、負荷電流が流れている状態でも開閉ができる装置です。緊急時に手動で高圧電力を遮断することができます。しかし、負荷開閉器のみでは過負荷や短絡事故などに自動で対応できないため、ヒューズと組み合わせて使用します。

高圧遮断器は、負荷電流が流れている状態の開閉の他、短絡事故などで発生した事故電流を自動で遮断することができます。ヒューズと違い事故電流の遮断後も復帰できるため繰り返し使用可能です。高圧の遮断機は、事故電流を検知する継電器と組み合わせて使用します。また、構造により真空遮断器(VCB)、空気遮断器(ABB)、ガス遮断器(GCB)などの種類があります。

計器用変成器(VCT)と電力量計

受電部では、電力会社との取引用電力量計により、使用電力量の計測を行う必要があります。

高圧電力はそのまま計量できないため、計器用変成器により低圧で少量の電流を取り出し電力量計に送ります。取引に使用する電力量計は電力会社が設置するため、キュービクルには取り付け用のスペースを用意します。

最近ではスマートメーターと呼ばれる遠隔検針が可能な電力量計が主流です。これにより電力会社の検針員がキュービクル付近に立ち入らなくても検針が可能になりました。

その他の計測器・保護装置

点検や使用状況の確認ができるように、電圧計や電流計を設置します。電力量計と同じく、高圧電力を直接計測することはできないため、計器用変圧器(VT)や計器用変流器(CT)を使用します。

また、必要に応じて雷からキュービクルを保護するアレスタなどの各種保護装置を設置することもあります。

低圧電力への変電を行う機能の構造

キュービクルの最大の役割は高圧電力を低圧電力に変電することでしょう。変電は変圧器(トランス)により行います。

変圧器は、内部の巻線の働きにより、一時側に流れた電力の電圧を一定の割合で変換する装置です。キュービクルの設計時は、建物の規模や使用する電気機器を元に、必要な電力を計算して設置する変圧器を決定します。

主に使用される変圧器は、6,600Vの高圧電力を単相3線式100/200Vの電灯電力又は三相3線式200Vの動力電力に変電するものです。電灯電力と動力電力の両方が必要な場合は、それぞれの変圧器を設置します。また、動力電力から電灯電力を取り出すスコットトランスと呼ばれる変圧器が設置されるケースもあります。

内部が絶縁用の油で満たされた油入トランス又は巻線をエポキシ樹脂で含浸モールドさせたモールド変圧器が一般的です。

また、動力電力がある場合には、力率改善のために変圧器の二次側に進相コンデンサとリアクトルを設置します。

交流電流、特に動力では、電圧と電流の位相のずれにより無効電力が発生し、電力の効率(力率)が落ちてしまいます。そのため、コンデンサにより位相のずれを減少させ、力率の改善を図るのです。さらに、コンデンサにより発生する高調波等の弊害を防止するため、コンデンサの容量に応じたリアクトルも設置します。

各電気設備への配電を行う機能の構造

変圧器で変圧した電力を、建物内の各所に配るための低圧配電盤を設けます。エリアや用途ごとに回路を切り分け、各回路に必要な電力を過不足なく送り出す役割です。

過電流保護や開閉を行うための配線用遮断器や、漏電からの保護も行える漏電遮断器を回路ごとに設置し、各所につながる電線・ケーブルと接続します。

また、必要に応じて特定の回路の使用電力を計測する電力量計や、回路を制御するためのタイマー、電磁開閉器などを設置します。

これらの機器により、安全かつ効率的な電力分配を行うのが目的です。

キュービクルの構造と機能を知ろう

キュービクルの構造と機能を理解するためには、各機器の役割を把握することが重要です。高圧受電、変電、配電の各機能を担う機器がどのように連携し、安全で安定した電力供給を実現しているかを知ることで、キュービクルの重要性がより深く理解できます。

キュービクルの構造と機能を十分に理解することは、建物全体の電力システムの最適化につながる重要な第一歩です。

この記事では、キュービクルの持つ役割の中でも最も基本的なものに絞って説明をしました。実際には、必要に応じてさらに様々な機能が付加されるケースもあります。

キュービクル専門の一括見積もりサービス

一括見積もり比較サービスを使って複数の電気工事業者の料金を比較する!
こんな方におすすめ

複数の電気工事業者を比較検討したい
自社にあった専門業者を探したい
見積もり依頼の手間を省きたい

キュービクル見積もりBIZ」は、新設、更新、増設、撤去、改修(トランス、コンデンサ、遮断器、ケーブル更新他)その他 受変電設備など、必要な工事を選んで、専門業者の見積もりを一括で取得できます。

「キュービクル見積もりBIZ」に
 一括見積もりを依頼する【無料】

どのような電気工事業者が見つかりますか?
各社の特色として、価格はもちろんですが、現状の必要電力量に対して必要最低限の設計にして安くする方法や中古機器を利用することでさらにコストにフォーカスする設計、 また施設によっては将来的な機器の増設や減設を踏まえたコストオフな設計や、施工後の将来の安全性を考慮して工事実績が豊富な業者を探すこともでき、各種受変電設備やキュービクルに関してご依頼のお客様の理想的な専門業者を探すことができます。

企業掲載無料!
≫キュービクルの専門業者様はこちら