受変電設備とキュービクルの違い|受変電設備の形態についても解説

受変電設備とは、電力会社から送られてくる電気を受電(電気を受け取り)、変電(施設内で使える大きさの電気に変える)ための設備です。キュービクル(キュービクル式高圧受電設備)が設置されていることが多いため、「一緒なのでは?」とお考えかもしれませんが、明確な違いがあります。

この記事では、違いが分かりづらい受変電設備とキュービクルの違いについて詳しく解説します。

受変電設備とキュービクルの違い

受変電設備とキュービクルの違いについて、以下の表でまとめました。これにより、各用語の特徴や使用用途が明確になるかと思います。

項目受変電設備キュービクル
定義電力の受電と変圧、分配を行うための設備全般。受変電設備の一部として、屋内外に設置される小型の配電設備。
主な用途工場、大規模なビル、病院などの中・高圧受電設備。商業施設、小規模なビル、工場の受電設備など。
構成機器高圧受電盤、変圧器、低圧分電盤、遮断器など。高圧受電盤、変圧器、低圧分電盤が一体となった箱型のユニット。
設置場所建物内や専用の受変電室。屋外または建物の屋上、専用スペースなど。
メンテナンス定期的な専門の点検が必要。メンテナンスが比較的簡易。
法規制電気事業法や各種基準に基づき設置・運用。電気事業法や電気設備技術基準に基づき設置。
利点高度な制御と信頼性が高い。設置が簡単で、スペースを節約できる。
コスト初期設置コストが高い。初期コストが比較的低い。
設置規模大規模な電力需要に対応。中小規模の電力需要に適している。

この表は、受変電設備とキュービクルの基本的な違いを示しています。受変電設備は、電力の受電、変圧、分配などの役割を担う施設全般を指し、大規模な施設向けです。一方、キュービクルはその中でも小型の箱型設備で、比較的小規模な施設向けに設計されています。

受変電設備とは

受変電設備とは、電力会社から送られてくる電気を受電(電気を受け取り)、変電(施設内で使える大きさの電気に変える)ための設備のことです。変圧器や高圧配電盤、高圧進相コンデンサ、直列リアクトル、主遮断装置(真空遮断器)、断路器、高圧限流ヒューズなどさまざまな電気機器などで構成されています。

ただし、キュービクルと呼ばれる箱で設備が収められていたり、受変電設備を部屋で囲ったりなど形態にはいくつかの種類があります。

ここでは、以下の受変電設備について詳しく解説します。

  • キュービクル式高圧受電設備
  • 露出形の受変電設備を部屋で囲ったもの
  • 屋外露出形の受変電設備

キュービクル式高圧受電設備

この記事のテーマでもあるキュービクルは、受変電設備の1つです。そのため、「キュービクルは高圧受変電設備」という認識は間違いではありませんが、受変電設備全てがキュービクルというわけでもありません。

キュービクルは、建物の屋上や駐車場の隅などに設置されていることが多く、街を見ても小規模な建物で、高圧受電が必要な箇所にはほとんどキュービクルが設置されています。意識して見ることで、キュービクルを簡単に見つけることもできるでしょう。

また、建物などによっては電気室などを設けてキュービクルを屋内に設置することもあります。大型の建物に設置されたキュービクルであれば、数十個の箱が並ぶ事も珍しくありません。

露出形の受変電設備を部屋で囲ったもの

受変電設備をキュービクルなどの外箱に収めず、露出形の方法で設置されているタイプのものです。部屋や建屋で囲って収めているだけの構成であるため、キュービクル式の受変電設備には分類されません。

古い設備・容量の大きな設備に見られやすいタイプです。古いものであれば、単にキュービクルが普及する前に設置されたことも考えられますが、JIS基準にある内部温度の上昇基準を超えないよう、あえて外箱で囲わなかったことも想定できます。

その場合、換気扇を設けて受変電設備を含めた冷却を行います。また、外箱の扉を施錠すれば部外者が不用意に接触するのを防げるキュービクルと違って、露出形タイプのものは、受変電室(電気室)の入口に施錠を行い、部外者の侵入を防ぐ必要があるのも特徴です。

屋外露出形の受変電設備

容量がかなり大きめな電力会社の変電所の中の屋外に、変圧器などの電気機器がそのまま設置されているタイプの受変電設備です。大規模な工場など、敷地が広く受電容量が大きな設備に見られます。

屋外に設置する場合、冷却面を考慮せずに配置が可能です。高圧よりも上の特別高圧設備を設置する場合に見受けられます。

このタイプの受変電設備も外箱で機器を囲っているわけではないため、キュービクルタイプのものとはいえません。

このように、受変電設備ではキュービクル式以外にもいくつか種類があるため、キュービクルはあくまで受変電設備の1つであることがお分かりいただけたのではないでしょうか。

キュービクルとは

キュービクル(キュービクル式高圧受電設備)は、JIS C4620:2018に規定されています。JISでキュービクル一式が規定されていることからも、一般的に流通している受電システムであることは間違いありません。

とはいえ、受変電設備の全てがキュービクル式でない点も把握しておきましょう。ここからは、キュービクルに対するJISの規程を詳しくご紹介します。

キュービクルの概要

JISにて、キュービクルは「高圧の受電設備として使用する機器一式を一つの外箱に収めたもの」とされています。高圧の受変電設備を1つの金属製の箱に収めたものがキュービクルです。

キュービクルの適用範囲

JISでは、キュービクルの適用範囲として「公称電圧6.6kV、周波数50または60Hz、系統短絡容量12.5kA以下、受電容量4000kVA(力率0.8とすると契約電力で3200kW)以下の受電設備をキュービクルが使用できる範囲」とされています。

適用範囲にある公称電圧は、高圧受電の一般的な受電電圧と変わりありません。系統短絡容量・受電容量に関しては、かなり大きな容量までキュービクルで受電可能です。

契約電力に関しては、50kW以上となると電力会社から高圧受電の要請がされます。契約電力に関しても基準を大きく上回っている点からも高圧受変電設備の多くがキュービクル式である理由にもつながっているでしょう。

実際、街を見ても高圧受電が必要な箇所の多くはキュービクルが設置されています。キュービクルは、建物の屋上や駐車場の隅などに設置されていることが多いため、意識することで簡単に見つけられるでしょう。

受電箱・配電箱の違い

キュービクルは、受電箱・配電箱にわかれている必要があるとしています。それぞれの違いについてみていきましょう。

受電箱とは、

受電箱とは、電力需給用計器用変成器、主遮断装置など、受電(電気を受け取る)に必要な機器一式を1つの箱に収めたものです。主遮断装置としては、CB型(遮断器)の設置が義務付けられています。

遮断器としてはVCB(真空遮断器)が多く用いられています。遮断器の一次側回路では、メンテナンスに必要な断路器・高圧限流ヒューズなど設置後の法定点検や停電作業時に電力会社の受電から切り離せる構成、過電流時に確実に受電側から切り離せる構成のものが求められています。

また、断路器は活線状態からの開放は絶対にしてはなりません。あくまで保安点検時の停電状態で点検する回路を切り離すためのものです。

配電箱とは

配電箱は、変圧器、高圧配電盤、高圧進相コンデンサ、直列リアクトル、低圧配電盤などが収められたものです。

  • 変圧器:供給された電力を低圧(100・200V)に切り替える
  • 高圧配電盤:変圧器が複数ある場合に取り付けられる
  • 高圧進相コンデンサ:力率改善目的で取り付けられる
  • 直列リアクトル:コンデンサ同様、力率改善目的で取り付けられる
  • 低圧配電盤:変圧器で低圧化した電気を分岐するために設置される

それぞれで役割が異なるのが特徴です。また、受電の容量によって変圧器の個数が異なる場合もあります。容量が大きくなると複数の箱が連結されて大型のキュービクルとなり、10個前後の箱が並ぶことも珍しくありません。

ただし、大型のキュービクルになると設置場所の検討が必要です。電気室を設けたり建物の屋上や駐車場などの空きスペースを活用したりなど、建物によってキュービクルが設置される箇所は異なります。

まとめ

受変電設備は、電力会社から送られてくる電気を受電(電気を受け取り)、変電(施設内で使える大きさの電気に変える)ための設備です。キュービクルはJISにて「キュービクル式高圧受電設備」とされている通り、受変電設備の1つであり、キュービクル式以外にも受変電設備の形態は存在します。

キュービクル式が多く普及しており、高圧受電している多くの建物で目にしますが、受変電設備の全てがキュービクル式でない点を把握しておくとよいでしょう。

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