キュービクルの保守点検費用はどのくらい?法定点検の必要性・点検内容とあわせて解説します

キュービクル式高圧受電設備を含め、自家用電気工作物では電気事業法に基づいて保守点検の実施が義務づけられています。保守点検は、電気主任技術者が保安規定に則って実施しなければなりませんが、外部委託する場合は保守点検費用を支払わなければなりません。

この記事では、保守点検を外部委託する場合に必要な費用の目安や法定点検がどういったものなのか詳しく解説します。

キュービクルの保守点検費用

キュービクルの保守点検費用は、いくつかの要因によって異なります。これには、キュービクルのサイズ、設置場所、点検頻度、具体的な点検項目などが含まれます。以下に、一般的なキュービクルの保守点検費用の例を示す表を作成しました。ただし、これらの金額はあくまで参考であり、実際の費用は業者や条件により異なる場合があります。

点検項目頻度費用の目安(円)備考
年次点検(基本点検)年1回50,000〜100,000絶縁抵抗測定、目視点検、清掃などを含む
総合点検5年に1回100,000〜300,000主要機器の分解点検、部品交換なども含む
緊急点検必要時20,000〜50,000異常時の臨時点検、復旧作業
定期清掃年1回30,000〜70,000ホコリの除去、フィルター交換など
電圧・電流測定年1回10,000〜30,000電気的性能のチェック
絶縁油の交換・検査5年に1回50,000〜150,000変圧器の絶縁油の劣化状態の確認、交換
部品交換(例:ヒューズ、スイッチ)必要時10,000〜50,000/箇所劣化・故障した部品の交換

注意点:

  1. 地域による違い:都市部と地方では費用が異なる場合があります。
  2. 業者の選定:信頼できる業者に依頼することで、長期的なコスト削減が可能です。
  3. 点検頻度の重要性:定期的な点検を怠ると、故障や事故のリスクが高まるため、結果として修理費用が増加する可能性があります。

詳細な見積もりや具体的な保守計画については、専門の電気保安管理業者に相談することをお勧めします。

キュービクルを保守点検している業者

キュービクルを保守点検している業者には、会社組織である保安法人と公益社団法人や一般社団法人などの協会員などで一定の法定経験値を経過し独立起業した個人事業主など法人個人それぞれ特色を生かした依頼先が選べます。

また、キュービクルの保守点検・メンテナンスにかかる費用は受電設備容量や契約区分によって異なります。

キュービクルの保守点検を行っている業者についての表を以下に示します。表では、業者名、対応エリア、提供するサービスの種類、および連絡先情報などを示しています。これらの情報は一般的なものであり、具体的なサービス内容や料金については、各業者に直接お問い合わせください。

業者名対応エリア主なサービス内容連絡先情報
日本電気保安協会全国対応キュービクルの定期点検、緊急対応、修理、法定点検電話: 06-6585-1000
東京電気管理技術協会関東エリア総合点検、年次点検、機器の修理・交換電話: 03-3263-7146
関西電気保安技術協会関西エリア定期保守点検、異常時対応、絶縁抵抗測定電話: 06-7507-2260
中部電気保安協会中部地方年次点検、絶縁油交換、電気設備の診断電話: 052-955-0781
九州電気保安技術協会九州エリアキュービクルの定期点検、電気設備診断、異常対応電話: 092-431-6701
東北電気保安技術協会東北エリア法定点検、緊急対応、機器メンテナンス電話: 0800-777-0007
中国電気保安技術協会中国地方定期点検、絶縁抵抗測定、修理サービス電話: 082-207-1755
四国電気保安技術協会四国エリアキュービクル点検、部品交換、電力設備の管理電話: 0570-017788
北海道電気保安協会北海道エリア総合点検、年次点検、緊急対応電話: 011-555-5018
沖縄電気保安技術協会沖縄エリア定期保守、電気設備診断、異常時対応電話: 098-866-4946

注意点:

  1. 業者の選定:各業者のサービス内容や料金は異なるため、複数の業者から見積もりを取ることが推奨されます。
  2. 対応エリアの確認:業者によって対応エリアが限定されている場合がありますので、エリア外の場合は、他の業者を検討してください。
  3. 実績と信頼性:長年の実績があり、信頼できる業者を選ぶことが、トラブルの防止につながります。

これらの業者の詳細な情報や追加の問い合わせについては、各業者の公式ウェブサイトやカスタマーサポートに連絡することをお勧めします。

また、委託先によっては専用の集中検針装置のない電力量計に関して、店舗やテナント用に貸し出している部分に使用している電力量計を1台500円~などで毎月計測し、金額を知らせてくれるサービスを行っている事業者もあるので付帯する業務を依頼したい場合には一度訪ねてみるといいかもしれません。

これは電気設備全般に言えることですが、とかく高圧受電しているキュービクルは湿気と誇りを苦手としています。点検できるタイミングや年次点検の許容時間などにもよると思いますが、点検管理業者や管理技術者によってはこまめに掃除をしてくれる場合とそうでない場合もあります。

こまめに清掃することでキュービクルに使用されている電気的な部品の耐久性も変わってきます。

また、点検は絶縁監視装置を設置することで1か月に一回の点検を2か月に1回にすることもできますが、それは法的な許容になりますので基本的には点検費用が変動するものではありません。絶縁監視装置のスペックによってはイニシャルに影響するものもあります。

たまに散見しますが、依頼者と受託者が意思の疎通や金額や点検方法その他問題が発生して揉めているケースも存在します。業務委託と言えど人対人です。お互いの対応の仕方によっては外部委託依頼を考えている保安法人や一般社団法人、公益社団法人などの保安個人の事業主などから見積りを取り、実際に点検担当者とお会いして停電点検時にキュービクルの清掃をきちんとやる業者なのか、担当の主任技術者について不安がないか、絶縁監視装置の代金が保安管理費を圧迫してないかなど、保安管理体方針や規模感にあったランニングコストであるかなど、不安なく運用していくためにも複数比較・検討した上で契約先を判断しましょう。

キュービクルの法定点検は必要なもの

ネットの情報をみると「キュービクルの法定点検を実施しないことで生じるリスク」などを目にしますが、前提が異なります。キュービクルをはじめ、自家用電気工作物の法定点検は電気事業法によって定められたものです。

ここにある自家用電気工作物は、以下の条件に当てはまるものが該当します。

●電力会社などから600Vを超える電圧で受電しているもの
●構外にわたる電線路を有しているもの
●小出力発電設備以外の発電設備

一般的に電力会社と高圧受電契約を結んでいる事業者であれば「自家用電気工作物の設置者」となります。そのため、キュービクルの法定点検は必ず実施しなければなりません。

自家用電気工作物に関する保安規則

電気事業法では、自家用電気工作物の設置者に対して以下の法的義務が課せられます。

義務義務の概要
技術基準の適合維持経済産業省令で定められた技術基準に適合するよう、事業用電気工作物を維持すること
保安規定の制定・届出・遵守・設置者は事業用電気工作物の維持・工事・運用に関する保安確保のために保安規定を定めて経済産業大臣まで届け出る・設置者作業従事者は保安規定を遵守すること
電気主任技術者の選任・届出・設置者は事業用電気工作物の工事・維持・運用に関する保安監督のため、電気主任技術者を選任して経済産業大臣まで届け出ること

キュービクルを含めた自家用電気工作物の法定点検は、技術基準の範囲内に適合するよう維持すること、届け出た保安規定に準ずることを目的に実施されることがわかります。

加えて注目すべきなのは、電気主任技術者の存在です。電気主任技術者は第三種から第一種まで定められた国家資格で、取得すると電気設備の保守・監督を行えます。第三種から第一種それぞれで扱える電圧の範囲は以下の通りです。

●第三種:電圧が5万ボルト未満の事業用電気工作物(出力5千キロワット以上の発電所を除く)
●第二種:電圧が17万ボルト未満の事業用電気工作物
●第一種:すべての事業用電気工作物

JISにて、キュービクルの適用範囲は公称電圧6.6kV、周波数50または60Hz、系統短絡容量12.5kA以下、受電容量4000kVA(力率0.8とすると契約電力で3200kW)以下とされています。このことから、第三種電気主任技術者でも高圧受電設備の多くをカバーできることがわかります。

保安規程に定めるべき内容

先ほど、保安規則の中で保安規定の制定・届出・遵守が必要であることを解説しました。実際に保安規定に定めるべき内容に関しては以下の表の通りです。

工事・維持・運用・業務を管理する者の職務及び組織・従事者への保安教育・巡視、点検及び検査・発電所の運転を相当期間停止する場合の保全方法
運転・操作・電気工作物の運転、操作方法
災害時・災害、その他非常時に取るべき措置
記録・保存・保安についての記録・法定事業者検査又は使用前自己確認に係る実施体制及び記録の保存
その他その他工事、維持及び運用に関する保安に関し必要な事項

前項で電気主任技術者の資格があると電気設備の保守・監督を行えるとしましたが、正確には「保安規定に則り、保安監督業務を行う者」となります。そのため、電気事業法では電気主任技術者に対して保安監督業務を誠実に行うこと、また作業従事者は電気主任技術者が保安のために行う指示に従わなければならないとされています。

実際の現場でも、年次点検などでは作業指揮者と作業従事者で班編成が行われます。作業従事者は電気主任技術者資格を有する作業指揮者の指示に従わなければなりません。もちろん、作業従事者・作業指揮者ともに電気主任技術者資格を有し、互いが受け持つ現場の法定点検を手伝うこともあります。

電気主任技術者の選任と外部委託

電気主任技術者の選任義務を果たすための方法は、以下の2つです。

●自社で選任する
●外部委託する

自社で選任する場合、原則は「自社従業員」で「常時勤務」している「電気主任技術者資格の保有者」である必要があります。常時勤務に関しては正社員と同等以上の勤務形態(週40時間を目安)であることが必要です。

一方で外部委託とは、個人・法人に保安管理業務を委託することです。地域にある一般財団法人の電気保安協会は電気主任技術者を集め、保安管理業務を委託することで成り立っています。

外部委託契約の場合、以下の条件を満たしておくことが必要です。

設備条件・電圧7kV以下の需要設備・出力2,000kW未満の発電所(太陽光、風力、水力、火力)
承認条件・委託契約書を締結・告示の頻度で点検・2時間以内に到着・連絡責任者を選任

告示とは、「電気事業法施行規則第52条の2第一号ロの要件等に関する告示」のことです。月次点検や年次点検の頻度について定められたものが掲載されています。この外部委託にてキュービクルを含めた高圧受電設備の法定点検を実施する際に、保守点検費用が必要となるわけです。

キュービクルにて実施する点検の種類

実際に行う点検の種類には、以下のものがあります。

月次点検施設・設備の運転中に実施する点検・測定・試験
年次点検施設の運転を停止して行う精密な点検・測定・試験。事業場によっては無停電による年次点検が1年に1回、停電を伴う年次点検が3年に1回の場合もある。
臨時点検電気設備に異常が生じた場合の原因特定・探求。
工事期間中の点検電気設備の設置・変更の工事期間中において、工事期間中でないと点検できない箇所を重点的に行う点検。
竣工検査電気設備の設置または変更の工事が完了した際、関係法令などに基づいて竣工されているか確認するための精密な測定・試験

月次点検は、受電設備・配電盤や電気機器、構造物(電気設備の建物・電気室・キュービクル式であれば外箱)の外観点検や漏れ電流測定、標準電圧(101±6V、202±20V)の範囲内で収まっているかの確認、非常用予備発電装置の起動・停止などを行います。

外観点検では、温度の異常がないか異音・異臭がしないかなどをチェックします。ほかにも、キュービクルに向かって雑草が生えていたら簡単な抜草など、建物に応じた臨機応変な対応が求められるのが特徴です。

年次点検では、月次点検の内容に加え、絶縁抵抗測定・接地抵抗測定・継電器や遮断器の連動試験、変圧器の内部点検などより細かな内容を施設を停電させてチェックします。継電器に関しては地絡継電器・地絡方向継電器・過電流継電器・過電圧継電器など多くの種類があります。試験機を用いて実施しますが、意図的に異常な電圧・電流を発生させて動作を確認することもあるため、正確かつ素早い操作が求められるのが特徴です。

まとめ

この記事を通して、キュービクルの法定点検が必ず実施しなければならないものであることがお分かりいただけたかと思います。「キュービクルの保守点検を実施しないことで伴うリスク」などの情報に関係なく、電気事業法・保安規定に則って実施しなければなりません。

ただし、外部委託している事業場であれば、委託先に保守点検費用を支払う必要があります。保守点検費用は受電容量や契約先、地域によっても差が生じるため、見積りを通して相場を把握しておくとよいでしょう。

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