キュービクルの点検を取り扱う保安法人とは?会社の種類や点検内容を解説

キュービクル(キュービクル式高圧受電設備)は、「高圧の受電設備として使用する機器一式を一つの外箱に収めたもの」です。キュービクルを含め、自家用電気工作物では電気事業法に基づいて保守点検の実施が義務づけられています。

ただし、キュービクルの点検を取り扱う会社は多く存在しています。この記事では、キュービクルの保安点検を取り扱う会社の種類や点検の内容を詳しく解説します。

キュービクルの点検を取り扱う会社の種類

キュービクルの点検を取り扱う会社の例は、以下の通りです。

  • キュービクルメンテ協会
  • 電気保安協会
  • 日本テクノ株式会社

ここでは、それぞれの会社の特徴について詳しく解説します。

キュービクルメンテ協会

キュービクルメンテ協会は、全国規模で自家用電気工作物の保安管理業務を展開している会社です。以下の10支部あります。

  • 北海道支部
  • 北関東支部
  • 横浜支部
  • 静岡支部
  • 北陸支部
  • 姫路支部
  • 中国支部
  • 四国支部
  • 九州支部
  • 沖縄支部

キュービクルメンテ協会は、受変電設備の電気保安点検、改修・補修工事・天候・気候による災害の防止などさまざまなメンテナンス業務を展開しています。業務の効率化や電気の総合コンサルティングに対応しているのも特徴です。

一般財団法人の電気保安協会

全国にいくつかある一般財団法人の電気保安協会もキュービクルの保安点検業務に対応している会社です。第三種電気主任技術者(電験三種)以上の電気主任技術者資格を保有した技術者が集い、外部委託の形式で保安点検業務に対応しています。

全国にある一般財団法人の電気保安協会は、以下の通りです。

  • 北海道電気保安協会
  • 東北電気保安協会
  • 北陸電気保安協会
  • 関東電気保安協会
  • 中部電気保安協会
  • 関西電気保安協会
  • 中国電気保安協会
  • 四国電気保安協会
  • 九州電気保安協会
  • 沖縄でんき保安協会

一般財団法人の電気保安協会は、自家用電気工作物の保安業務以外にも一般用電気工作物の調査業務、広報業務も担っています。

調査業務は、電力会社から低圧で電気の供給を受けている一般用電気工作物の調査(電圧・電流、漏れ電流の測定や外観点検、電気的な異常がないかの質問など)を行う業務です。一4年に1回の頻度で、一軒ずつ訪問して電気設備の調査を実施しています。

広報業務は、電気の使用に関しての安全知識の普及・電気災害防止に関しての講習などを行う業務です。パンフレットの配布やテレビ・ラジオなどによるPRなど地域密着型で活動を展開しています。

日本テクノ株式会社

日本テクノ株式会社は、電気に関しての「運用改善・管理改善」「保安改善・設備改善」「調達改善」の3部門でサービスを展開している会社です。一部のエリアを除いて全国の各地に営業所を設置しています。

日本テクノの電気保安管理サービスは、以下の通りです。

主装置ESシステムキュービクル式高圧受電設備に設置する主装置。IoT技術を活用して、キュービクル内の全停電や漏電、トランス温度などを24時間リアルタイムで監視する
緊急応動システム電気事故が発生した際にスピーディーに把握して緊急王道を現場担当に要請する
緊急対応ネットワーク全国の電気監理技術者・協力工事会社と連携して電気事故の被害を最小限に食い止める。電気設備の復旧・改修を迅速化する
情報管理システム電気管理技術者が保安管理業務を実施する事業場で業種や規模に応じて算定が必要な換算係数を管理するシステム
電気点検簿システム点検報告書を電子化して、タブレット端末での入力やPDF出の保管が行えるようにしたシステム
電気設備保証サービス主装置ES SYSTEMをご利用のお客さまには、万一の電気設備事故が起きた場合、機器代金および工事費用などを保証するサービスをご用意しています。
特別高圧外部選任サービス大規模工場やビル、風力発電所、太陽電池発電設備(メガソーラー)など、特別高圧ならびに高圧の電気設備を設置している事業場へ、電気主任技術者を外部選任する

公益社団法人 日本電気技術者協会

公益社団法人 日本電気技術者協会は、講習会や会誌を通して電気技術者を応援する協会です。電気主任技術者が個人で会員登録を行い、電気技術の解説講座を受講したり技術相談したりしてレベルアップできます。そのため、キュービクルの保安点検を専門で請け負う企業とは少し系統が異なるのが特徴です。

具体的な活動内容としては、以下の通りです。

図書発行会員への頒布図書・発汗図書案内により、技術関連に関しての情報収集が可能
技術相談電気技術者として従事する上での技術的なものや電気関係法令に関するものまで幅広く相談できる。電気主任技術者試験に関しての相談も可能

また、電気技術解説講座にて、電気主任技術者試験に登場する知識的な面での内容がおさらいできます。電気主任技術者として必要な知識を定期的に復習する、新しい知識をインプットするなどの使い方でも利用可能です。

JHK(日本電機設備保安協会)

JHKは、株式会社エスコが提供している協力会事業です。電気主任技術者が登録を行い、株式会社エスコと業務提携契約を締結し、保安点検業務に従事します。顧客管理業務や事務業務的なものはエスコに委託できるため、点検業務にのみ専念できる仕組みです。

JHKの大きな特徴は、他協会との掛け持ちがOKな点です。自分が希望する条件に合った仕事に対して応募し、保安点検業務を実施することで報酬を受け取れる仕組みなので、仕事量の調節もできます。

ただし、自宅から1時間圏内の箇所に現場がある、募集エリアは関東圏内のみなど、いくつかの応募要件があります。ここではあくまで、電気主任技術者を集めた保安法人の企業以外にも、このような仕組みで仕事を成り立たせている企業があるという意味合いで認識ください。

キュービクルにて実施する保安点検について

キュービクルをはじめ、自家用電気工作物の保安点検は、電気事業法によって定められています。ここにある自家用電気工作物は、以下の条件に当てはまるものが該当します。

  • 電力会社などから600Vを超える電圧で受電しているもの
  • 構外にわたる電線路を有しているもの
  • 小出力発電設備以外の発電設備

一般的に、電力会社と高圧契約を結んでいる事業者は「自家用電気工作物の設置者」に該当します。そのため、キュービクルの法定点検は必ず実施しなければならないものであり、ネットの情報などで見受けられる「キュービクルの法定点検を実施しないと生じるリスク」などは前提が違うといえるでしょう。

ここからは、保安点検の種類や外部委託、保安点検費用について詳しく解説します。

保安点検の種類・内容

実際に行う保安点検には、以下のようなものがあります。

月次点検施設・設備の運転中に実施する点検・測定・試験。外観点検や電流・電圧の確認などを行う。
年次点検施設の運転を停止して行う精密な点検・測定・試験。事業場に よっては無停電での年次点検が1年に1回、停電を伴う年次点検が3年に1回の場合もある。
臨時点検電気設備に異常が生じた場合の原因を特定・探求し、早期解決を行う
工事期間中の点検電気設備の設置・変更の工事期間中でないと点検できない箇所を重点的に行う点検。
竣工検査電気設備の設置または変更の工事が完了した際、関係法令などに基づいて竣工されているか確認するための精密な測定・試験。

月次点検は、受電設備・配電盤や電気機器、構内柱・構造物(電気が使用されている建物・電気室・キュービクル式の場合は金属箱)の外観点検や標準電圧(101±6V、202±20V)に収まっているかの確認、漏れ電流測定などを行います。ほかにも、非常用予備発電の起動・停止を行う定期的な点検です。

年次点検は、月次点検の内容に加えて、絶縁抵抗測定・接地抵抗測定・継電器や遮断器の連動試験、変圧器の内部点検など、施設を停電させて詳細な点検を行います。継電器試験などでは、意図的に異常な電圧・電流を生じさせて動作確認・数値測定することもあるため、正確かつ素早い操作が求められます。ほかにも、停電時に電気機器の清掃なども行います。

竣工検査では、年次点検と同様の内容に加え、絶縁耐力試験なども実施します。竣工検査時では、建物の設備が完全に整っていないこともあり、足元や周囲環境により気を配りながら実施しなければなりません。

保安法人などの会社は、電気主任技術者の選任を外部委託などで請け負い、上記のような保安点検を従事している電気主任技術者が行うことで成り立っています。

キュービクルの保守点検費用

キュービクルの保守点検・メンテナンス費用は、受電設備容量や契約区分ごとに異なります。そのため、外部委託する場合は、どのくらいの費用がかかるのかあらかじめ見積りを取って確かめることが大切です。

保守点検の費用の目安ですが、ネットの情報で多くみられるのは1〜5万円程度です。目安の範囲内で収まることもありますが、先ほど解説した内容に加え、地域差なども考慮しなければなりません。

必ずしも目安の範囲内で収まるわけではなく、受電容量や契約先によっては10万円以上かかることもあります。契約を考えている外部委託先の企業の見積りを取り、複数比較した上で契約先を判断するのが賢明といえるでしょう。

まとめ

この記事で、キュービクルの法定点検を取り扱う会社にどのようなものがあるかお分かりいただけたかと思います。キュービクルの保安点検は、必ず実施しなければならず、電気主任技術者を自社で選任できない場合は、外部委託で依頼する必要があります。

外部委託する場合、委託先に保安点検費用を支払わなければなりません。保安点検費用は、受電容量や契約先の会社、地域差などで異なるため、事前に見積りを取って確認することが大切です。

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