電気を使用する建物に欠かせないキュービクル。新規導入や設備更新の際、予算の都合で中古品の導入を検討されている方も多いのではないでしょうか。本記事では、専門知識がない方でも理解できるよう、中古キュービクルについて、選び方のポイントから導入後の管理まで分かりやすく解説します。
キュービクルとは?
キュービクルとは、一般家庭では見かけることの少ない大きな箱型の電気設備です。主に工場やオフィスビル、商業施設など、大量の電力を使用する建物に設置されています。高圧(6,600V)で送られてくる電気を、建物で使用できる低圧(100V/200V)に変換する役割を担っています。
近年、環境への配慮やコスト削減の観点から、中古キュービクルへの注目が高まっています。新品と比べて大幅なコスト削減が可能な上、早期導入できるというメリットがあるためです。
しかし、中古キュービクルには、中古品ならでは新品にはないリスクや注意点もあり、導入を検討する際には慎重な判断が必要となります。
中古キュービクルのメリット
中古キュービクルの最大のメリットは導入コストの削減です。中古キュービクルは、一般的に新品と比較して30〜50%程度の価格で購入できます。例えば、新品で1,000万円するキュービクルが、中古なら300〜500万円程度で入手可能です。
キュービクルは、電気設備の中でも高額な設備であるため、導入コストの削減効果は、特に創業期の企業や設備投資の予算が限られている事業者にとって、大きな魅力といえるでしょう。
また、納期の短さも大きな利点です。新品の場合、発注から納品まで通常3〜6ヶ月程度かかりますが、中古品なら在庫があれば数週間で導入することができます。
急な設備更新や事業拡大の際には、この納期の短さが事業計画の実現を後押しします。災害による故障や予期せぬ設備トラブルへの対応など、緊急性の高いケースでもすぐに設置できる中古キュービクルには大きなメリットがあります。
さらに、既存の設備を再利用することで、環境負荷の低減にも貢献できます。SDGsへの取り組みを重視する企業にとっては、この環境配慮の側面も導入を後押しする要因となっています。製造時に発生するCO2の削減や、資源の有効活用という観点からも、中古品の活用は環境に優しい選択といえるでしょう。
中古キュービクルのデメリット
中古キュービクルの導入には、中古品ならではのデメリットについても十分な理解が必要です。
最も大きな懸念点は、耐用年数が短くなることです。キュービクルの一般的な耐用年数は15〜20年とされていますが、中古品の場合は既に使用期間が経過しているため、その分だけ使用可能期間が短くなります。このため、導入後比較的早い段階での更新を視野に入れた長期的な設備計画が必要となります。
故障のリスクも新品より高くなる可能性があります。使用年数が長くなるほど、部品の劣化や摩耗が進むため、突発的な故障が発生する可能性は否定できません。
また、部品交換などによりメンテナンス費用が新品より高額になることも考えられます。保証期間も新品より短いか、場合によってはほとんど付かないこともあり、故障時の修理費用は自己負担となる可能性が高くなります。
省エネ性能面でも、最新の設備には及びません。近年のキュービクルは、変圧効率の向上など、様々な省エネ技術が採用されています。電気料金の削減効果を期待する場合は、この点も考慮に入れる必要があります。
電気料金は、事業運営における大きな費用項目です。キュービクルの導入時のコスト比較では見落としがちなポイントなので注意しましょう。
中古キュービクルの導入に向いているケース
中古キュービルの導入が特に効果的なケースについて、具体的に見ていきましょう。
初期投資を抑えたい場合
中古キュービクルは、初期投資を抑えたい事業者にとって有効な選択肢となります。
創業時や事業拡大期など、設備投資の予算が限られている場合、導入コストの大幅な削減は事業計画の実現可能性を高めます。
しかし、長期的なコスト比較では、必ずしもメリットばかりとは言えないため、十分な検討が必要です。
限られた期間での使用を予定している場合
工場の移転や店舗の一時的な営業など、限られた期間での使用を予定している場合は、中古キュービクルの導入が合理的です。
使用期間が限定されている場合、新品の導入は過剰な投資となる可能性があります。中古品であれば、必要な期間に応じた設備選択が可能です。
耐用年数が短いなど、中古キュービクルのデメリットも問題になりにくいため、積極的に中古キュービクルを使用できる使い方と言えるでしょう。
賃貸物件・テナント等での設置
スケルトン状態の賃貸物件を借りて事業を開始するためにキュービクルを設置する場合、中古のキュービクルは有効な選択肢のひとつです。
賃貸物件では、多くの場合、退去時にキュービクルを撤去しなければならない契約となっています。そのため、新品に比べ耐用年数が短い中古キュービクルが有効なのです。
ただし、賃貸物件でも15年以上継続して運営される場合は、新品のキュービクルの耐用年数に達するため、総合的に判断するようにしましょう。
緊急時の対応
既存キュービクルの故障で、電気が使用できなくなりとにかく早く復旧したいという場合、新品のキュービクルを注文している時間はありません。
キュービクルは一部の小規模なものを除き、受注生産のため、注文から納品まで3ヶ月~6ヶ月、製品によってはそれ以上の期間が必要です。
しかし、中古キュービクルであれば、適合する在庫品があればすぐに購入して設置することができます。そのため、緊急時の対応に中古キュービクルが有効な場合があります。
中古キュービクル導入の確認ポイント
中古キュービクルを導入する際は、いくつかの重要な確認ポイントがあります。ここでは、具体的な確認ポイントを紹介しますので参考にしてください。
業者の選定ポイント
中古キュービクルの導入には、工事業者、販売業者の選定が特に重要です。
中古キュービクルは、性能や劣化状況を見定め、適切なメンテナンスを行ったうえで設置する必要があります。そのためには、実績豊富で技術力の高い業者を選ぶことが重要です。
まずは、会社の設立年数や過去の導入実績数を確認しましょう。また、複数の業者から見積もりを取得し、価格だけでなくアフターサービスの内容も含めて総合的に比較検討することが重要です。
見積書を確認する際は、本体価格はもちろんのこと、運搬費用、設置工事費用、諸経費など、すべての費用を明確にしておく必要があります。特に工事費用については、建物の状況によって追加工事が必要になる場合もあるため、事前の現地調査に基づいた正確な見積もりを取得することをお勧めします。
保証内容についても具体的な確認が必要です。保証期間はもちろんのこと、部品交換のみか、工事費用も含むのかなど、保証の範囲を明確にしておくことで、将来的なトラブル発生時の対応をスムーズに行うことができます。
中古キュービクルの確認ポイント
キュービクルは専門的な設備のため、その選定には専門知識が必要です。特に中古キュービクルでは、購入する製品の劣化状況なども見定める必要があり、一般ユーザーが判断することは困難でしょう。
そのため、信頼できる業者を選択することが重要ですが、一般ユーザーでもチェックできるポイントもあるため、業者任せにせず確認しておくと安心です。
中古キュービクルを購入する場合、製造年や使用期間は特に重要な要素で、一般的に10年以内の製品を選ぶことが望ましいとされています。これは、耐用年数や保守部品の入手のしやすさを考慮してのことです。
過去の使用環境も重要な判断材料となります。屋内での使用か屋外での使用か、また使用されていた地域の環境条件によって、製品の状態は大きく異なってきます。例えば塩害地域で仕様されていた場合、通常よりも劣化が進んでいる可能性が高いといった判断ができます。
絶縁抵抗測定、絶縁耐力試験、各種の継電器の特性試験、などの各種試験結果や点検結果は文書で提出を求め、保管しておきます。
試験結果の内容を見ても意味が分からないかもしれませんが、最低限必要な検査をしていることが確認来ます。また、試験結果を保管しておくことでその後のトラブルに備えることができ、運用開始後の保守にも活用できます。
まとめ
中古キュービクルの導入は、適切な選定と管理を行えば、コスト面で大きなメリットが得られる選択肢です。ただし、中古品ならではのデメリットもあります。導入を検討する際は、初期費用の削減効果だけでなく、維持管理費用も含めたトータルコストでの判断が重要です。
また、信頼できる業者の選定も成功の重要な要素です。製品の詳細な使用履歴や保証内容など、細かな点まで確認することで、安全で経済的な設備運用が可能となります。
中古キュービクルの導入は、慎重な検討と適切な管理があれば、事業運営における賢明な選択となり得ます。この記事で紹介した内容を参考に、自社の状況に合わせた最適な判断を行っていただければと思います。
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