あらゆる電気設備には耐用年数があり、経年劣化により交換が必要です。電気供給の要であるキュービクルも例外ではありません。
この記事では、キュービクルの交換を行う電気工事業者の方。特にキュービクルの交換工事の経験が少ない方向けに、キュービクル交換の基本を説明します。
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キュービクル交換の必要性
まずは、キュービクルの交換がどのような場合に必要なのかを説明します。電気工事業者としては当たり前の話を含みますが、顧客に対しキュービクル交換の必要性と重要性を説明できるようにしておきましょう。
キュービクルの劣化と交換の意義
キュービクルの劣化は、主に電気的、機械的、環境的要因によって進行します。電気的負荷の変動、温度変化、湿度、塵埃、そして経年による絶縁材の劣化は、キュービクルの性能を徐々に低下させていくのです。
特に、高圧機器や遮断器、変圧器などの主要構成要素は、継続的なストレスにさらされることで、その機能に支障をきたす可能性があります。
こうして劣化が進んだことによりキュービクルが故障すると、建物全体の電力供給ができなくなります。状況によっては長期間の停電となり、事業に大きな影響を与える可能性もあるでしょう。
また、キュービクルは電力会社の高圧電力網とつながっているため、周囲の他の需要家を巻き込む事故となる可能性もあります。このような事故は波及事故と呼ばれ、第三者に被害を出した場合は、損害賠償を請求されるリスクや行政庁の立ち入り検査、処分の対象となる場合もあるのです。
このため、キュービクルを安全に運用することは、事業者にとって非常に重要と言えるでしょう。壊れたらその時に交換すればよいというものではありません。定期点検などで劣化状況を確認するとともに、耐用年数等を考慮した計画的な交換が必要です。
キュービクル交換のタイミングと判断基準
キュービクルの実用耐用年数は15年~20年程度と言われています。そのため15年~20年を目安に交換の計画を立て、予算の準備などをしておくと安心です。
しかし、劣化の進み方は使用状況や環境要因によって変動します。そのため、実際にキュービクルの劣化状況を確認して交換の必要性を判断することも必要です。ただし、個別の機器の故障であれば、キュービクル全体の交換ではなく、機器の取替や修理によって対応できる場合もあります。
キュービクルの交換を検討する際は、以下のような兆候に注意を払う必要があります。
- キュービクル本体(金属箱)の全体的な劣化、破損、雨漏りなど
- 絶縁不良や絶縁抵抗値の著しい低下
- 遮断器の動作不良や誤作動
- 内部配線の劣化や腐食
- 異常な発熱や異音の発生
キュービクルは法令により定期点検が義務付けられています。月次点検・年次点検の記録を確認し、急に悪化した項目や長期的に状況が悪くなっている項目には特に注意しましょう。
使用状況の変化や性能向上のための交換
設備の追加により電気容量が足りなくなった場合や、太陽光発電などの発電設備と連携させるために機能を追加したい場合など、劣化以外にもキュービクルを交換する場合があります。
このような場合は、キュービクル本体の交換以外にも、キュービクル内への機器の追加や増設キュービクルの設置といった改修で対応することも可能です。
- キュービクル内や周囲に追加機器を設置するスペースがあるか
- 既存キュービクルの交換時期が迫っていないか
- キュービクル交換と機器追加のコスト比較
キュービクル交換と改修のメリット・デメリットを検討することで、顧客に対しより満足度の高い選択肢を提案できるでしょう。
キュービクル交換の事前調査と準備
キュービクルは建物全体の電力供給の要であるため、その交換にはしっかりとした事前調査と準備が必要です。ここでは、キュービクル交換に必要な事前調査と準備について説明します。
既存キュービクルの詳細調査
まず、既存のキュービクルについて包括的な調査を実施する必要があります。この調査では、単に物理的な状態を確認するだけでなく、電気システム全体の特性と要件を詳細に分析することが重要です。
現在のキュービクルの電気容量、設置環境、保護設備、接続されている機器の仕様などを綿密に調査します。
- 電灯回路・動力回路ごとの変圧器容量
- 開閉器の数や容量
- 過電流保護、短絡保護などの基本的な保護機能
- 雷保護などの付加的な保護機能の有無
- 力率改善のための進相コンデンサや直列リアクトルの容量
- その他の付加機能の有無や種類
また、過去の点検記録や故障履歴も重要な参考情報となります。これらの情報は、新しいキュービクルの仕様を決定する上で不可欠な基礎データとなります。
また、既存キュービクルが据え付けられている基礎や周囲の状況も確認しておきましょう。基礎が劣化している場合など、キュービクルの交換に伴って他の補修工事が必要な場合もあります。
電気設備の現状診断
キュービクルを交換では、多くの場合、既存キュービクルの使用を開始から10年以上経過しているでしょう。そのため、電気設備の追加や廃止、改修などにより、建物全体の電力の使用状況が変化している可能性があります。
そこで、現在の電力の使用状況を確認し、電気容量に過不足がないか、コンデンサなどの容量は適切かといった確認が必要です。
この過程を怠ると、キュービクルの交換後に、電気容量が足りない、容量が過大なため無駄な電気料金がかかるなどのトラブルになりかねません。
キュービクルの搬入経路や設置場所の確認
キュービクルは大型の電気設備であるため、設置場所までの搬入経路や設置場所の条件で工事の難易度が大きく変わります。
以下の点に注意して現場の確認を行いましょう。
- 設置場所までの搬入・搬出経路はあるか
- 設置場所まで車両が入れるか
- 設置場所まで車両が入れない場合はどのように運搬するか
- 据付作業に重機が使用できるか
- 搬入作業や据付作業を人力で行う場合はどのような手順になるか
設置場所に車両を横付けしそのままクレーンで基礎に据付が可能な場合は、人力の作業が少なくスムーズに工事が完了するでしょう。
しかし、建物内の電気室に設置する場合などは人力での搬入が必要となったり、据付に重機が使用できなかったりと、作業に手間がかかる可能性が高くなります。
工事期間中の影響と対策
キュービクルの交換では、工事中に建物内の停電や、騒音、振動、重機による通行止めが発生するなど、様々な影響があります。
使用中の建物で交換工事を行う場合は、これらの影響を顧客に説明し、必要に応じて対策を決めておく必要があります。
- 工事中は仮設キュービクルを設置し停電を最小限にする
- 顧客の事業形態や営業日・休日を考慮した工程計画にする
- 工事中の防音ネットなどの導入
- 振動を防止するための重機の制限
これらの対策は、工事費用や工事期間に大きな影響を与えるため、工事計画の立案にあたって、事前にしっかりと打ち合わせを行っておきましょう。
電力会社・諸官庁との事前協議
キュービクル交換には、手続きや届け出が必要となります。
まず、電力会社と事前協議を行い、工事計画について打ち合わせましょう。キュービクルの交換だけでも、電気容量の変更や設備の切り替えに伴い電力会社の側の工事や対応が必要になることもあります。事前協議を行わずに工事を始めると、思わぬところでストップがかかってしまう可能性があります。
また、キュービクルの交換は経済産業省や消防署にも届け出が必要です。専任の主任技術者が別にいる場合は、主任技術者とも協議し、どの手続きを誰が行うかを打ち合わせておきましょう。
これらの手続きは、単なる形式的な要件ではなく、安全で適切な電気設備更新を保証するための重要なステップです。事前に関係各所との綿密な調整と協議を行うことが、スムーズな工事の達成につながります。
キュービクル選定のポイント
古くなったキュービクルを交換する場合、同じ仕様で交換するだけと思われがちです。しかし、効果的な交換には様々な検討が必要です。
容量と負荷の適切な見積もり
キュービクルの選定において最も重要な要素の一つは、正確な電気容量と負荷の見積もりです。現在の電気使用状況だけでなく、将来的な拡張性や設備増強の可能性も考慮に入れた総合的な設計が求められます。
負荷計算には、以下のような詳細な要素を考慮する必要があります。
- 現在の最大電流値
- 電気設備の力率
- 想定される将来の電力需要
- 設備の同時使用率
- デマンド制御などの導入
電気容量に過不足があると、想定していた電気設備が使用できなかったり、無駄に高い電気料金が発生したりと、使用開始後のトラブルの要因となります。
単純に現在のキュービクルと同じ要領にするのではなく、事前調査を実施し、現在の使用状況に応じた電気容量にすることが重要です。
必要な仕様の選定
設置場所によって、屋外型(耐侯型)にするか、扉や換気設備の形状をどうするかなど、キュービクルの形状や仕様を決定します。環境によっては塩害対策などを考慮することも必要です。また、免振・耐震などの災害対策も検討する必要があるでしょう。
キュービクル内に設置する保護設備では、過電流継電器による過電流保護、短絡保護などの基本的保護だけでなく、雷害の多い地域では避雷器を付けるなど、使用状況や周辺環境に応じた保護を検討します。
このように、キュービクルの選定には様々な要因が関係します。不明な点はメーカーの技術協力も得ながら、最適な仕様を検討しましょう。
キュービクル交換工事の手順と注意点
キュービクルの交換は、新設とは異なる工事手順が含まれます。ここで交換工事の手順と注意点を説明しますので、参考にしてください。
停電作業の計画と安全対策
キュービクル交換において最も重要かつ危険を伴うプロセスは、停電作業の計画と実施です。
高圧電力の取り扱いは大変危険な作業ですので、しっかりとした安全対策が必要となります。また、使用中の建物における停電は工事以外にも大きな影響があるため、停電時間の制限もあります。
- 停電範囲の正確な特定
- 作業時間を含めた作業手順の作成
- 従事者の安全装備の徹底
- 緊急時の対応方法
停電作業前には事前に詳細な停電計画を策定し、関係者全員に周知徹底することが不可欠です。
既存キュービクルの切り離しと撤去
既存キュービクルの撤去は、高度な専門技術と慎重な作業を要する繊細なプロセスです。事前に詳細な解体計画を立案し、各種配線や機器の接続を丁寧に切り離していく必要があります。
- 高圧電力回路からの切り離し
- 残留電荷の完全放電
- 既存設備への影響の最小化
- 安全に留意した撤去作業
- 安全に留意した搬出作業
高圧電流の遮断、高圧ケーブルの切り離しは大変危険な作業です。手順を間違えて高圧電力に感電すると、重大な人的被害が発生します。また、切り離し後もキュービクル内の各設備には電気が残っている可能性があり、接地等により放電を行い、検電器で確認してから撤去作業を行う必要があります。
キュービクル本体や変圧器などの大型の内部機器は、重量もあるため、転倒や挟み込みによる事故がないように注意が必要です。クレーンなどの重機を使用する場合も、手順を守って適切に使用し、事故が発生しないように注意しましょう。
新キュービクルの搬入と据え付け
新しいキュービクルの搬入と据え付けは、精密さと計画性が求められる重要な工程です。搬入経路の事前確認、適切な搬入機材の準備、正確な位置決めなど、細心の注意を払う必要があります。
- 搬入経路の確保
- 搬入機材等の準備
- 安全に留意した搬入作業
- 安全に留意した据付作業
キュービクルは大型の電気設備であるため、搬入自体も大掛かりな作業となります。特に使用中の建物では、第三者被害が発生しないように搬入経路を計画し、柵やカラーコーンなどで立ち入り禁止措置をしたうえで搬入を行います。
重機を使用して搬入作業や据付作業では、手順を守って重機による巻き込み事故やクレーンの転倒、荷崩れなどがないように注意します。人力で行う場合は、手足の挟み込みや重量物の転倒による事故が発生しないよう対策が必要です。
キュービクルへの配線接続
キュービクルへの配線接続は、最も神経を使う工程の一つです。高圧ケーブルの端末処理などは低圧電気設備の工事では発生しない作業であるため、未経験者が実施する場合は特に注意が必要です。
- 高圧ケーブルの端末処理
- 配線の正確な接続
- 接続部の確実な処理
電気系統の接続が間違っていると、電気を投入後に設備の故障や事故の原因となります。各配線の接続には正確性が求められます。
交換後の試験・検査
新しいキュービクルの設置後は、使用開始前に各種試験を行い、製品や工事に問題がないか確認します。
- 絶縁抵抗測定、接地抵抗測定などの各種測定試験
- 遮断器、継電器などの動作試験
- 目視での各部の点検
設備に問題がある状態で高圧電力を投入すると、大きな事故につながりかねないため、試験は必ず実施するようにしましょう。また、これらの試験は専任の電気主任技術者と協力し、主任技術者の行う点検も実施します。
各種試験・検査に問題がなければ、電力を投入して新しいキュービクルを使用することができます。
キュービクルの交換は重要な電気工事
キュービクルは、50kWを超える電気を使用する建物で広く使用されている高圧受変電設備であり、様々なビル、店舗、施設で使用されています。電気工事の需要としても大きな規模があるため、交換工事を行えるようになれば大きなチャンスと言えるでしょう。
しかし、キュービクルの交換には、キュービクルの新規設置や低圧電気工事にはない注意点が含まれます。経験があまりない場合は、より慎重に計画を立て、事故なくスムーズに工事を完了させることが重要です。この記事が少しでもその役に立てれば幸いです。
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