キュービクル容量の決め方とは?調べ方から選定のポイントまで解説

キュービクル(高圧受変電設備)の容量選定は、建物や施設の電力供給において非常に重要です。適切な容量を選定することで、安全で効率的な電力供給が可能となり、また過剰な設備投資を避けることができます。

この記事では、キュービクル容量の決め方について、基本的な考え方から具体的な計算方法、選定時の注意点まで詳しく解説していきます。

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キュービクル容量選定の基本的な考え方

まずは、キュービクル容量とは何か、キュービクル容量の選定はなぜ重要なのかを説明します。

キュービクル容量とは

キュービクルは、電力会社から受電した高圧の電気を、低圧の電気に変圧し、建物内に電気を供給する役割を担っています。キュービクルの容量は、建物内で同時にどれだけの電力を使用できるかという値です。

主に、キュービクル内に設置する変圧器(トランス)容量の合計を指してキュービクル容量と呼ばれます。また、変圧器容量に合わせて各種遮断機や保護装置の容量が選定されます。

キュービクル容量が不足していると、使用したい電気設備が同時に使用できなかったり、過電流により停電になってしまったりして、安定して設備を稼働させることができません。

だからと言って、キュービクル容量が必要以上に大きくすると、過剰な設備投資となるため、適切なキュービクル容量を選定することが重要なのです。

キュービクル容量の決め方

キュービクル容量の基本的な考え方は、施設の電力需要を正確に把握し、さらに適切な余裕を持たせることです。

容量決定のプロセスは、まず設置される機器の把握と整理から始まり、最大電力の算出、適切な余裕率の設定を経て、最終的に標準キュービクル容量の選定へと進みます。このプロセスを慎重に進めることで、適切な容量のキュービクルを選定することができます。

想定最大需要電力は、施設で必要となる最大の電力のことです。単に施設内の電気設備の使用電力をすべて合計すると、同時に使用しない設備も多いため過剰となります。このため、同時に使用する電力を慎重に割り出す必要があります。

想定最大需要電力の算出には通常使用する機器の消費電力だけでなく、季節変動による電力需要の変化や施設の用途による電力使用パターン、さらには非常時の電力需要なども考慮に入れる必要があります。さらに、将来的な電気設備の拡張への対応も検討しておかなければなりません。

このように、キュービクル容量の選定の肝は、最大電力の設定にあると言ってよいでしょう。

電灯電力と動力電力の容量

キュービクルでは、高圧電力を低圧電力に変換していますが、この低圧電力には大きく電灯電力と動力電力の2種類があります

種類・呼称主な供給方式用途
電灯電力単相3線式100/200V照明、一般的な家電製品、オフィス機器
動力電力三相3線式200V工場の生産ライン、大型機械、業務用エアコン、業務用冷蔵庫

電灯電力は、一般家庭でも使用されている供給方式で、照明や一般的な家電製品で使用されます。また、業務用の機器でも、パソコンやコピー機のようなオフィス機器では、電灯電力で動作するものが一般的です。

動力電力は、工場の生産ラインや工作機械などの大型の機械、業務用のエアコンや冷蔵庫など、より大きな力を必要とする電気設備で使用されます。

実際には、電気の供給方式にはこれ以外の方法もありますが、キュービクルから供給される電力に関しては、一般的に上記の2種類がほとんどと考えてよいでしょう。

変圧器から出力される電力は、電灯電力・動力電力のいずれかとなるため、それぞれの容量を選定する必要があります。

このため、キュービクルの容量を選定する場合は、電灯電力・動力電力のそれぞれの容量を決める必要がある点を覚えておきましょう

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具体的なキュービクル容量の調べ方・選定方法

それでは、ここから具体的なキュービクル容量の選定方法について、ステップに分けて説明します。キュービクル容量の選定は主に以下のステップで行います。

  1. 使用する電気設備や施設の用途・規模から施設の総容量を調査する
  2. 電気設備の使用状況から想定需要率・想定最大需要電力を求める
  3. 余裕率を設定する
  4. キュービクル容量を決定する

施設の規模や使用する電気設備を調査する

キュービクル容量を選定する際の第一歩は、施設の総容量の確認です。総容量とは、施設内のすべての電気設備をフル稼働させた場合の使用電力です。

可能な場合は、施設内で使用する電気設備の詳細な調査を行います。設置する電気設備の種類、定格消費電力、使用頻度や使用時間帯、力率などの情報を収集しましょう。これらの情報は、後の計算や検討の基礎となる重要なデータとなります。

しかし、設置する電気設備を把握することが困難なケースも多く存在します。例えば、完成後にどんな店舗が入居するかわからないテナントビルでは、入居者が設置する電気設備を事前に確認することはできません。また、自社の施設でも運用を始めればその時々の状況で稼働させる設備は刻々と変わっていきます。

このように、すべての電気設備を調査して最大電力を求めることは難しいため、実際には主な電気設備は設置予定の機器の使用電力を用い、それ以外の電気設備については、施設の用途と面積から想定される使用電力を加算するという方法が用いられます。

電気設備の使用状況から想定需要率・想定最大需要電力を求める

実際の運用では、全ての機器が同時に最大負荷で稼働することは稀です。そのため、実際の運用を考慮した想定需要率を設定する必要があります

工場の製造ラインなどでは、運用計画から実際の運用に近い需要率を想定することも可能でしょう。しかし、多くの場合は、まだ稼働していない施設の需要率を計算により求めることは困難です。そのため、施設の用途や電気設備の種別によって、一般的な想定需要率が設定されています。

例えば、照明設備では80-90%、空調設備では60-70%、動力設備では40-50%、OA機器では30-40%程度が一般的な需要率の目安となります。また、これらの設備をまとめて施設全体の需要率を総需要率といい、施設の用途によって総需要率の目安も設定されています。

想定最大需要電力(kW) = 総容量(kW) × 想定需要率(%) ÷ 100

想定需要率が決定したら上記の式で想定最大需要電力を求めます。これにより決定した想定最大需要電力がキュービクル容量の元となります。

余裕率を設定する

想定最大需要電力をそのままキュービクル容量として採用した場合、たまたま同時に大きな電力を使用した場合に使用電力がキュービクル容量を超えてしまう可能性があります。また、電気設備の追加や変更にも対応できません。

そのために、キュービクル容量には余裕率を見込んでおく必要があります。標準的な施設では20-30%、将来の拡張性を考慮する場合は30-40%程度の余裕率を見込むのが一般的でしょう。

しかし、余裕率の設定は、施設の特性や将来計画を考慮して行うことが重要です。施設の将来計画、電力使用の季節変動、設備の経年劣化、メンテナンス時の運用、非常時の対応などを総合的に考慮します。

将来的な設備増設の可能性が高い場合や、季節による電力使用量の変動が大きい施設では、より大きな余裕率を設定する必要があります。

キュービクル容量を決定する

想定最大需要電力と余裕率によって、必要なキュービクル容量を求めることができます。しかし、実際のキュービクル容量は、メーカーの標準キュービル容量に合わせる必要があります。

キュービクルに搭載する変圧器は、JIS規格に基づいた既製品を使用するため、既定のラインナップから選択する必要があるのです。

一般的な変圧器の容量には、50kVA、75kVA、100kVA、150kVA、200kVA、300kVA、500kVA、750kVA、1000kVAなどがあります。

実際の選定では、計算値に最も近い大きい方の容量を選択する方法が一般的です。また、1台の変圧器ではなく、複数の変圧器を組み合わせることもできます。

実際の現場では、このように決定したキュービクル容量に基づき、キュービクルメーカーにキュービクルの設計を依頼することになります。

JISの規定によるキュービクル式高圧受電設備とは

キュービクル容量選定のポイント

キュービクル容量を選定する際に注意した方が良いポイントを紹介します。

経済性を考慮する

キュービクル容量の選定では、使用電力の計算など、技術的な側面にばかり注意が向きがちです。しかし、経済性の検討も重要な要素となります。

初期投資コスト、運用コスト、メンテナンスコスト、電力基本料金、設備更新計画などを総合的に考慮しなければなりません

容量が大きすぎると初期投資や基本料金が増加し、小さすぎると将来的にキュービクルの増設が必要となるため、長期的な視点での検討が必要です。

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将来的な需要増への対応

将来的に電気設備を増設する計画がある場合は、増設する電気設備分の電力を見込んでキュービクル容量を選定します。

しかし、現在の電気容量に対して、将来的な需要増の見込みがあまりに大きな場合は、過剰設計、無駄な投資となってしまう可能性もあるでしょう。

その様な場合には、キュービクル内やキュービクルの周囲に後から変圧器を追加できるスペースを見込むなどの方法で対応することも可能です。

一時的な電力増加への対策

施設の用途や設置される電気設備によっては、一時的に大きな電力を使用するケースがあります。

例えば、大型のモーターを使用する機器がある場合は、モーター始動時に大きな始動電流が流れます。このような一時的な電力増加に対する対策が必要です。

このため、電気設備の使用電力を確認する際には、定格電流、定格電力だけでなく、一時的に発生しうる最大電力も確認しておきましょう

このような一時的に大きな電力を使用する電気設備が複数ある場合は、運用時の工夫で最大需要電力を抑えることも可能です。例えば大型モーターであれば、始動のタイミングをずらすことで始動電流が複数同時に流れないようにすることができます。

機械的に大きな電力を分散させることができる、デマンド制御も有効な手法なので、ぜひ検討してみるとよいでしょう。

定期的な見直しの必要性

キュービクル容量は、一度決定したら終わりではありません。設備の増設・更新時、施設の使用形態を変更するときなど、使用電力が大幅に変動する場合にはキュービクル容量の見直しが必要となります。

また、実際の運用データを収集・分析することで、設計段階より適切な容量選定が可能となります。電力使用量の推移、最大需要電力の変動、季節変動の実態などのデータを活用することで、次回のキュービクル更新時により適切な容量を選定することができます。

キュービクル容量の選定は適切に

キュービクル容量の選定は、施設の電力供給の要となる重要な作業です。慎重に検討を進め正しい容量選定を行うことで、安全で効率的な無駄のない電力供給システムを構築することができます。

そのためには、設置する電気設備の仕様や施設の特性・用途、将来的な計画などを総合的に考慮し、適切な容量のキュービクルを選定することが必要です。

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