キュービクルは一度設置すれば恒久的に使用できるというものではなく、経年により劣化し、いずれは交換が必要となります。とはいえ、キュービクルのような大型の設備を交換するには大きなコストがかかるため、「できれば交換したくない」「交換を先延ばしにしたい」と考えてしまう方も多いでしょう。
この記事では、キュービクルを交換しないことによってどのような問題があるか、設備更新の重要性について説明します。
キュービクル経年劣化の深刻なリスク
電気設備が経年により劣化すると、故障や性能の低下によって様々な事故やトラブルのリスクが発生します。特にキュービクルは建物全体の電気供給を担い、電力会社の電力網とも直接接続されている重要な電気設備のため、問題が起きた際の影響も重大です。
まずは、キュービクルの劣化によって発生する主なリスクについて説明します。
電力供給停止のリスク
キュービルは企業や施設の電力供給の要となる重要な設備です。経年劣化による突発的な故障は、事業継続に致命的な影響を及ぼします。製造業における生産ラインの停止、データセンターのシステムダウン、商業施設の営業停止など、業種を問わず深刻な事態を引き起こす可能性があると言えるでしょう。
キュービクルが故障してから、慌てて新しいキュービクルへの交換を計画しても、キュービクルの制作には少なくとも3ヶ月程度の制作期間が必要です。長期間にわたって事業が停止することになるため、被害は甚大なものになります。
特に注意が必要なのは、夏季の冷房需要期や冬季の暖房需要期などのピーク電力使用時期です。こうした時期は設備への負荷が高まり、故障のリスクが著しく上昇します。さらに、台風や豪雨などの悪天候時に、設備の劣化部分から雨水が侵入したりするなど、外部要因によるトラブルでも致命的な故障につながりやすくなります。
電気火災・感電事故などの重大事故リスク
老朽化したキュービルは、火災や感電事故など、安全上の重大な問題を引き起こす可能性があります。火災による被害が甚大なものになることは想像に難しくないでしょう。また、高圧電気での感電は死亡リスクが高く、発生すれば重大な事故です。
キュービクルの劣化で特に深刻なのは絶縁劣化による事故のリスクです。絶縁劣化が起きると漏電や短絡が発生し、これが火災や感電につながります。また、接点部分の腐食は発熱や火花の原因となり、最悪の場合、火災につながる可能性があります。
波及事故リスク
キュービクルで発生した事故の被害は施設内にとどまりません。高圧受電では、電力会社の電力網から高圧の電気を直接受けているため、キュービクルで発生した事故が周囲の電力網へ波及することがあるのです。
波及事故では、周辺地域の停電や異常な電気の発生による設備の故障などの被害が考えられます。こうした被害が発生すると、被害を受けた企業などから損害賠償を求められる可能性があります。
さらに、適切な管理を怠ったことにより波及事故が起きたとなれば、監督官庁からの立入検査や行政指導、行政処分を受ける可能性もあるのです。金銭面、信用面で非常に大きな被害を受けるリスクがあると言えます。
電力品質低下の影響
キュービクルの劣化は、供給される電力の品質低下を引き起こします。電圧の変動や高調波の発生は、接続された機器の誤動作や寿命低下の原因です。
特に精密機器やIT機器は電力品質の影響を受けやすく、わずかな変動でもデータ損失やシステム障害を引き起こす可能性があります。製造業における生産設備や検査装置、医療機関の医療機器なども、電力品質の影響を大きく受ける機器の代表例です。
キュービクルの更新費用を掛けたくないばかりに、他の設備の故障や不調で大きな費用が発生してしまうのは、正に本末転倒と言えるでしょう。
保険と補償の問題
事故発生時の損害を補填するために重要なのが保険の適用です。しかし、キュービクルの不適切な管理は、事故発生時の保険金支払いに重大な影響を及ぼす可能性があります。
保険会社は、事故の原因調査において、設備の管理状態を詳細に確認します。明確な劣化兆候を放置していた場合や、必要な点検を実施していなかった場合、重大な過失と判断される可能性が高くなります。
特に深刻なのは、電気主任技術者からの改修勧告を無視していた場合です。このような場合、事故発生時に保険金の支払いが制限される可能性もあるでしょう。また、点検記録や修理履歴などの管理記録が適切に保管されていない場合も、保険金支払いの判断に影響を与える要因となります。
キュービクルとコンプライアンス
キュービクルをはじめとした受変電設備は、自家用電気工作物と呼ばれ、通常の電気設備とは異なる法規制が適用されます。重要な電気設備であり、様々なリスクがあるため、設置者には適切な維持管理が義務付けられているのです。
電気事業法及び関係法令
電気事業法やそれに基づく関係法令では、キュービクルを含む電気設備の適切な維持管理が厳格に義務付けられています。一定の資格を持った電気主任技術者を選任し、保安規定を設け、定期点検を実施し、技術基準に適合するよう設備を維持しなければなりません。
月次・年次点検や日常点検を実施し、これらの点検で不具合が発見された場合、速やかな改修が必要となります。また、キュービクルの劣化状況を把握し、計画的なキュービクル全体の更新が必要です。
これらの義務を怠るとコンプライアス上の重大な違反とみなされる可能性があります。点検や改修の履歴は適切に記録し、保管することが求められ、これらの記録は行政による立入検査の対象となります。
労働者の安全管理
労働者の安全管理の観点からも、電気設備の適切な管理は重要です。事業者には、作業者の安全を確保するための具体的な措置が求められます。
キュービクルが劣化すると、安全のための保護装置が適切に動作しなかったり、絶縁性能の低下で感電のリスクが高くなったりと、作業者の安全を確保できないリスクが発生します。
このような管理上の問題で事故が発生した場合、事業者は管理責任を問われることになるでしょう。
予防保全と計画的な更新の重要性
キュービクルにおける様々なリスクに対応するには、予防保全とキュービクルの計画的な更新が重要です。
定期点検の重要性
キュービクルの予防保全において、定期点検は極めて重要な役割を果たします。定期点検は法令で義務付けられているから実施するというだけでなく、管理上も重要な意味があるものと認識し、適切に実施しましょう。
点検により、劣化や故障している機器や部品を確認し、適切にメンテナンスを行うことで、キュービクルを安全に保ち、より長く安心して使用することができます。
また、点検結果を記録・保管することで、キュービクルの劣化状況を把握し、計画的な更新にも活用できます。
予防保全の重要性
キュービクルで内部の機器が故障した場合、キュービクル全体ではなく問題のある機器のみを交換する対応が可能です。定期点検で劣化している機器が発見された場合、実際の故障などのトラブルが発生する前に交換を行うのが予防保全です。
実際に機器が故障すると、周囲の機器に影響して故障範囲が拡大し、停電や波及事故などが発生して大きな被害につながるリスクがあります。このため、予防保全には重大な意味があるのです。
キュービクルの更新
適切な予防保全の実施によって、ある程度はキュービクルの寿命を延ばすことができます。しかし、キュービクルの全体的な劣化を止めることはできません。そのため、最終的にはキュービクルの更新が必要となるのです。
キュービクルの耐用年数は一般的に15年~20年と言われています。しかし、更新時期を判断する際は、複数の要素を総合的な評価が必要です。耐用年数に対する経過年数は最も基本的な判断基準となりますが、これだけでは十分ではありません。実際の使用環境や負荷状況により、劣化の進行速度は大きく異なるためです。
過去の故障履歴も重要な判断材料となります。特に、同じ部位での故障が繰り返し発生している場合は、設備全体の更新を検討する必要があります。また、部品の供給状況も考慮が必要です。製造から長期間経過した設備では、交換部品の入手が困難になることが多く、これも更新を検討する重要な要因となります。
キュービクルの更新は計画的に!
劣化したキュービクルには様々なリスクがあります。重大な事故が発生する前に適切な更新が必要です。
しかし、キュービクルの更新には高額な費用が必要となるため、すぐに実施できるものではないでしょう。予算の確保や工事の影響など様々な検討事項も発生します。
キュービクルの更新は、定期点検の結果や主任技術者の意見を参考にしながら、適切な時期を判断し、計画的に実施するようにしましょう。
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