キュービクルには図面が必要!図面の種類や読み方を解説

キュービクル式高圧受変電設備(キュービクル)の発注・制作・設置・保守管理には図面の存在が欠かせません。しかし、キュービクルの図面は内容が専門的であり、電気設備の知識がなければその必要性や内容を理解することは難しいでしょう。

この記事では、キュービクルにおける図面の種類、読み方などについて説明します。

キュービクルの図面とは?

キュービクル式高圧受変電設備(キュービクル)では発注・制作・設置・保守管理・修繕・交換などあらゆるシーンで図面の存在が欠かせません。

キュービクルはメーカーが工場で制作しますが、設置する建物・施設等の条件により必要な性能が異なるため、原則オーダーメイドで受注生産されます。そのため、それぞれのキュービクルごとの図面が必要となります。

また、現地に設置され使用を開始したキュービクルは、法令に定められた保守・点検・管理が必要です。内部の点検をしたり、必要に応じて電気を遮断したりといった管理を行っていくためには、図面によりキュービクルの構造を把握する必要があります。

さらに、キュービクルが古くなり内部の機器を取り替えるなどの修繕を行うときや、キュービクル全体を新しいものに交換する際にも、図面を参考して交換する材料を手配し作業内容を決めていきます。

このように、キュービクルにとって図面はとても重要な役割を持っているものなのです。

キュービクルの図面が作成される流れ

新築や大規模な模様替え工事を行う場合には、キュービクルは建物・施設における電気設備の設計と合わせて行われます。これは建物に設置する大型の機器類や想定される用途に必要な電灯・コンセントなどの容量を算出し、建物内や屋上、外周部で設置する位置を決めるなど、建物と一体となった設計が必要なためです。

設計図は一般的に設計事務所や下請けの電気設計事務所などが作成しますが、この段階でキュービクルメーカーに設計協力を依頼し、部分的に図面を作成してもらう場合もあります。しかし、入札や見積もり比較により工事を発注する場合は、設計段階ではキュービクルのメーカーを決めることはできません。そのため、設計段階のキュービクルの図面はあくまで現場で必要な仕様を元に想定で作成したものとなります。

実際に工事がはじまりキュービクルの制作を発注すると、キュービクルメーカーは設計図を元に製作図と呼ばれる、より詳細なキュービクルの図面を作成します。製作図では、メーカーごとに異なる本体の仕様などを反映させ、内部に設置する機器の型番や設計段階では決めていない細かいポイントを決定していきます。

このようにして、それぞれの現場に合わせたキュービクルの図面ができていきます。

キュービクル用の図面作成ソフト・CAD

最近では、業務で図面を作成するときに、手書きで作成することはまずありません。パソコン上でCADを使って作成する方法が一般的です。

CADには目的に応じて様々なものがありますが、キュービクルの図面を作成する場合には、Auto CADやJW_CADなどの建築設計で広く使われているCADが使われることが多いでしょう。メーカーなどから提供される参考図面などのデータも、Auto CADの形式であるDXF形式であることが多いです。

また、日東工業株式会社が提供している「QQSキュービクル図面作成システム QBSTA(キュービクルスタ):https://ntec.nito.co.jp/JL/qbsta/index.html」など、メーカーがキュービクルの図面を作成するサービスを提供していることもあります。

キュービクルにおける2種類の図面

キュービクルの図面には大きく「姿図・構造図」と「単線結線図(配線図)」の2つがあります。この2つの図面はそれぞれキュービクルの形状と機能を表す役割があり、どちらも重要なものです。

外形図(姿図)・配置図

外形図(姿図)はキュービクルの外観、配置図(構造図)は内部の機器の配置など構造を描いた図面です。キュービクル本体の大きさや形状、内部の機器の配置を確認することができ、これにより、キュービクルの設置に必要なスペースや基礎の形状なども判断できます。

また、冷却のための喚起設備や扉に設置するハンドルや鍵の種類など、単線結線図では表現することができない仕様も外形図や配置図に記載されます。

単線結線図(配線図)

画像出典:「昭和五十年五月二十八日 消防庁告示第七号」より抜粋

単線結線図は、キュービクル内に設置された各機器の電気的なつながりを表す図面です。各機器を特定の図記号で表し、それらの機器をつなぐ電線・ケーブルを単線で表現します。

単に結線図や配線図といった場合も、キュービクルに関しては単線結線図のことを指していると考えてよいでしょう。

単線結線図は、キュービクル内に設置される機器の種類や仕様、それらの機器が内部で電気的にどのようにつながり、どのように動作するかといった情報を表す図面で、キュービクルの機能・性能を決定するため非常に重要な役割を持っています。

キュービクルにおける単線結線図の読み方

単線結線図を読み解くには電気設備の専門的な知識が必要です。しかし、これが読めなければキュービクルに関係する業務では話になりません。

第一種電気工事士や電気主任技術者など、電気関連の資格試験では単線結線図の読み取りが必要な問題が出題されますし、建築設備士など設備設計の資格では実技試験で合格するために単線結線図を描ける必要があります。

ここで、単線結線図とはどういったものか、構成や使用する図記号など、基本的な読み方を説明します。

単線結線図の基本的な構成

画像出典:「昭和五十年五月二十八日 消防庁告示第七号」より抜粋(赤色追記)

キュービクルは電力会社から高圧の電力を受け取り(受電)し、通常使用する100V・200Vの電気に変換(変電)して、電気を使用する各所に送り出す(配電)役割があります。単線結線図も基本的にこの構成で描かれます。

基本的な配置としては一番上に受電部があり、次に必要に応じて電気を遮断するための開閉器や事故を防止する保護装置、計器類があります。その下にあるのが、変圧を行うための変圧器(トランス)です。変圧器の前後には必ず専用の開閉器が取り付けられ、必要に応じて電気を遮断することができます。

三相200V(動力)がある場合には、力率を改善するためにコンデンサが設置されることが一般的です。この他にも必要に応じて非常用電源や太陽光発電と接続されたり、周囲の環境に合わせて保護装置が追加されたりします。

キュービクルの単線結線図に使う図記号

単線結線図では、機器類はすべて専用の記号で表すため、図記号を正しく理解して覚えておく必要があります。一般に使われる図記号はJIS規格で定められており、一度覚えればどのメーカーのキュービクルの図面でも読むことが可能です。

単線結線図用の図記号は多くありますが、キュービクルでよく使用される図記号は以下のようなものがあります。

記号名称役割
ケーブルヘッド(CH)高圧ケーブルを接続するために端末処理を行った部分。キュービクルの単線結線図では高圧電力を受ける入口になる。
計器用変圧器(VT)高圧側の電圧を計測できるように、計器用の低圧電気を取り出す。
計器用変流器(CT)高圧側の電流を計測できるように、計器用の低圧電気を取り出す。
 電力需給用計器用変成器(VCT)計器用変圧器と計器用変流器を内蔵しており、これにより電力量計を接続し、使用電力を計測することができる。
 電力量計(Wh)使用電力を計測する。電力会社に対し支払う電気料金の根拠となる電力測定の他、施設内の電力の使用状況を把握する管理目的設置されることもある。
 ヒューズ付き高圧交流負荷開閉器(PF付LBS)負荷電流が流れている状態で開閉が可能な開閉器。ヒューズにより過電流保護の役割も持つ。
 断路器(DS)保守点検などの際に、各機器を電路から遮断するために設置する。負荷電流が流れている状態では開閉できない。
 変圧器・トランス(T)電力会社から受電した高圧電力を使用目的に応じた低圧電力に変圧する。

まとめ

ここまで、キュービクルにおける図面の必要性や図面の種類、読み方などを説明してきました。

キュービクルに関する業務を行うためには、図面を読む、さらに描く知識と技術が求められます。図面を完全に読み解くには、必要となる前提知識も多く、さらにその内容が実際の現場にあっているかまで判断することが必要です。

一朝一夕に身につくものではありませんがぜひ挑戦してみてください。

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