キュービクルは施錠が必須?鍵の種類や共通キーについても解説!

キュービクルの扉は通常施錠されており、鍵がなければ開けることはできません。キュービクルの点検や操作をするときには、専用の鍵で扉を開けて作業を行います。

この記事では、キュービクルに鍵が必要な理由や一般的に用いられている鍵の種類、共通キーなどについて説明します。

キュービクルに鍵が必要な理由

キュービクルには必ず鍵が付いています。ではなぜキュービクルには鍵が必要なのでしょうか?

ここで、キュービクルに鍵が必要な理由について説明します。

キュービクルの中は非常に危険!

キュービクルは、電力会社から高圧電力を受電し、低圧電力に変換して施設各所に電気を送るための設備です。そのため、キュービクル内部には高圧の電気が流れています。

高圧電力で感電すると非常に高い確率で死亡に至るため大変危険です。高圧電力で充電されている場所に触れた場合はもちろん、直接接触しなくても近づくだけでアーク放電により感電する恐れがあります。

このため、電気的な知識のない人がキュービクルを開け、不用意に電線や機器に触れたり各スイッチを操作したりすることは許されません。そこで、権限のない人がキュービクルを開けることがないように、キュービクルの扉には鍵が必要なのです。

キュービクルの鍵は法令でも必要!

経済産業省の定める「電気設備の技術基準の解釈」や「電気設備の技術基準の解釈の解説」を読み解くと、変電所は人が立ち入らないようにし、そうでない場合は機械器具等を収めた箱を施錠しなければなりません

このため、キュービクルの構造を定めたJIS規格「C4620:2018 キュービクル式高圧受電設備」においても「扉は,施錠ができ,かつ,開いた状態で固定できるものとする。」ことと定められています。

キュービクルに使用される鍵の種類

キュービクルに使用される鍵には大きくシリンダー型とキーハンドル型の2種類のタイプがあります。ここで、それぞれの鍵のタイプや共通キーについて説明します。

シリンダー型

シリンダー型は、鍵穴に鍵を差し込んで開閉する錠です。一般的に鍵と聞いてイメージするのはこのタイプでしょう。キュービクルの扉でも広く使われています。

キーハンドル型

キーハンドル型は、扉側のハンドル(把手)がなく、取り外しができるハンドル形の鍵(キーハンドル)を差し込んで開閉します。

キーハンドルは扉の大きさや重さによって種類があり、大きく重い扉ほど大きなキーハンドルが必要です。そのためキュービクル用のキーハンドルは比較的サイズが大きいものが多く携帯性が良くありません。また、キーハンドルを挿した状態でないと開閉できないため、複数の扉を繰り返し開閉するには不便です。

しかし、扉にハンドルがないため、見た目にスッキリし、ぶつかったり引っかかったりしにくいメリットがあります。

キュービクルの鍵に使用される共通キー

キュービクルの鍵は共通キーと呼ばれるものが使用されることが多く、違う施設のキュービクルでも同じ鍵で開閉することができます。これはキュービクルに限らず、分電盤や制御盤など電気設備に使用される鍵一般に同じです。

最もよく使用されているのは、上の画像にあるタキゲン製造株式会社のNo.0200です。「タキゲンの200番」と呼ばれ、電機業界では知らない人はまずいません。

共通キーは複数のメーカーで作られており、タキゲンの200番以外の共通キーもありますが、タキゲンの200番のシェアが圧倒的に大きく、この鍵で日本中の多くの電気設備の鍵を開けることができます。

キーハンドル型の場合は、メーカー大きさなどの違いによって種類がありますが、同じメーカーの同サイズのものであれば同一のキーハンドルで開閉できます。

どこの施設でも同じ共通キーを使用しているというと、電気設備業界以外の方は驚かれるでしょう。複数の施設を管理する電気技術者が1つの鍵で開閉できることによる利便性や、緊急時に外部の工事業者がすぐ対応できるといったメリットがあるためこのようになっています。

しかし、誰でも入手できる鍵のため第三者でも開閉できることは問題です。最近ではセキュリティ向上のため、共通キーを使わずにオリジナルの専用キーとすることも増えています。

最大手のタキゲンでは、タキゲンの200番よりも上位のTAKシリーズを製造・販売しており、200番の上位互換に当たるTAK50や約118,000通りのキー種別があるTAK80などがあります。

まとめ

ここまで、キュービクルの鍵の必要性や鍵の種類、共通キーについて説明しました。

キュービクルを発注する際には、設備のグレードや設置される場所に応じて、セキュリティと利便性を考慮し、鍵の種類を選定する必要があります。また、キュービクルの施錠管理は確実に行い、事故が発生しないようにすることが重要です。

キュービクルを安全に使用するためには施錠管理が必須です。きちんと管理して事故のないように気を付けましょう。

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