キュービクルは、高圧電力を受電し建物内で使用できる低圧電力に変換する受変電設備です。建物の電気設備の要となる重要な施設ですが、老朽化や設備更新、建物解体などの理由により、撤去が必要となるケースがあります。
キュービクルは大型の電気設備であるため撤去には工事が必要です。高圧電力を扱う設備であるため法的な対応も発生します。さらに、産業廃棄物としての適切な処理が求められます。
この記事では、キュービクルの撤去の工事手順、費用、コストダウンの方法まで、実務に即した情報を詳しく解説していきます。
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撤去工事の内容
キュービクルの撤去工事は一般的に以下の工程で行われます。
- 事前調査
- 撤去計画立案
- 関係者との調整・工程作成
- 撤去工事
- 廃棄物処理
- 撤去後の処理
キュービルの撤去工事を安全かつ効率的に実施するためには、入念な事前調査と綿密な計画立案が不可欠です。まず、設備の規模や容量、設置状況、周辺環境などについて詳細な調査を行います。
また、古いキュービクルにはPCBやアスベストなどの有害物質を使用した機器が設置されていることがあります。これらの物質は法令で処分時の取り扱いが定められているため、含有の有無を確実に判定し処分することが必要です。必要に応じて成分分析などの対応が求められることもあります。
撤去工事の内容が決まったら、関係者との調整を行い、工事の時期や工程を決めます。工事中は騒音が出たり、作業範囲や搬出経路の立ち入りを制限したりと、周囲にも影響が出るため、丁寧な打ち合わせが必要です。
これらの準備ができたらいよいよ撤去工事を行い、不要となったキュービクルを搬出します。撤去・搬出では、搬出ルートの確保が最大のポイントです。搬出方法やルートによって、工事費が大きく変わります。
撤去したキュービクルは産業廃棄物として処分します。産業廃棄物は廃棄物処理法等の法令により、排出事業者の責任が厳密に決められているため、法令を遵守して処分しなければなりません。
撤去が完了したら、跡地の処理も忘れず行いましょう。建物自体を撤去する場合は気にする必要はありませんが、引き続き利用する場合は、基礎を撤去するか残すのかなど、跡地の利用方法も含めて決めておく必要があります。放置すると危険な場合もあるため、適切に処理するようにしましょう。
キュービクルの撤去に関る手続き
キュービクルは重要な電気設備であるため、設置時に関係官庁に届出を行い、運用中も定期点検の結果などを報告する必要があります。そのため、使用をやめる場合も、各種手続きが必要です。
電気事業法における規定
キュービルの撤去工事は、電気事業法に基づく工事計画の届出が必要です。特に受電電力が2,000kW以上の設備の場合、工事着手の30日前までに経済産業大臣への届出が必要となります。また、保安規程の変更届出も必要となる場合があります。
電力会社との事前協議・申請
撤去工事の実施前には、電力会社との協議が必要です。主な協議内容は以下の通りです。
- 電力供給停止の日程調整
- 引込線の撤去方法
- 電力メーターの取り外し
- 撤去後の電力供給方法(必要な場合)
まずは、いつからキュービクルでの受電をやめるのか、電力会社の資産である引込線や電力メーターの撤去はいつ・どのようにするのかといった内容を話し合います。その後、協議内容に応じた契約の廃止・変更手続きを行い、キュービクルの撤去までに高圧電力の送電が停止されるように段取りを行います。
また、使用する電力量の減少により高圧受電を低圧受電に変更する場合、キュービクルの撤去後は別途電力会社から低圧電気の供給を受けることになるため、撤去後の電力供給方法も調整が必要です。
キュービクルの廃止報告書
キュービクルは設置時に所轄の産業保安監督部に届出をしているはずです。そのため、廃止の際には廃止報告書の提出が必要です。
廃止報告書を提出すると、関連する保安規定や主任技術者選任届の情報は失効するため、別途手続きは必要ありません。
手続きを怠った場合、行政指導の対象となる可能性もあるため、確実に実施するようにしましょう。
所轄消防署への届出
キュービクルは、高圧電力を扱う危険な設備であるため、設置時に所轄消防署に届出が必要です。そのため、廃止時も届出が求められることがあります。
消防法上の取り扱いは所轄消防署長の判断によるため、事前に手続きの有無や方法について所轄消防署に相談しておきましょう。
産業廃棄物処理に関する法規制
キュービクルの撤去により発生する廃棄物は、産業廃棄物として適切な処理が必要です。撤去工事により発生した産業廃棄物は、一般に撤去工事を行った業者が排出事業者となり、処分の責任を負います。
しかし、不法投棄や不適正な処分が行われた場合、依頼主も社会的責任を問われることは十分に考えられます。また、古い電気機器に含まれるPCBは、事業者が自ら排出事業者となり処分することが定められているため、特に注意が必要です。
- 産業廃棄物の処理手続きでは特に以下の点に注意しましょう。
- 必要な品目の産業廃棄物運搬・処分業許可を受けた処理業者への委託
- 法令で定められた要件を満たした委託契約の締結
- 産業廃棄物管理票(マニフェスト)の確認・保管
- 適切な分別・運搬・処分の実施と確認
PCBやアスベストが含まれている場合、特別管理産業廃棄物となり、通常よりも厳重な取り扱いが必要となります。特にPCBについては、保管や処分に当たって自治体に個別の届出等も必要となるため、非常に大きなコストがかかります。しかし、法令で定められた重要な手続きですので、確実に実施するようにしましょう。
キュービクルの撤去費用
ここまで、キュービクルの撤去工事の内容や必要な手続きについて説明してきました。それでは、キュービクルの撤去費用はどの程度かかるのでしょうか。
ここで、キュービクルの撤去費用についてみてみましょう。
撤去費用のうち、大きな割合を占めるのは「撤去工事費用」と「産業廃棄物処理費用」です。これに10~30%程度の付帯作業・経費が加算されると考えておけばよいでしょう。
撤去工事費用
撤去工事の費用は、キュービクルの解体や取り外し、現場外に搬出するまでの敷地内運搬などが含まれ、主に作業員の人件費、重機やトラックなどの車両費用、仮設費用、安全対策費用などで構成されます。
作業員の人件費は、電気工事士や一般作業員、現場管理者、安全管理者などの人員構成によって変動します。特に電気工事士については、その技術力や経験に応じて、一日あたり25,000円から35,000円程度の費用が発生します。
また、現場管理者については、工事の規模や複雑さに応じて、一日あたり30,000円から40,000円程度が相場でしょう。
重機や車両の費用も、撤去工事の大きな費用項目となります。クレーン車は一日あたり80,000円から150,000円、トラックは40,000円から60,000円程度の費用が発生します。これらの費用は、機材の規模や使用時間によって大きく変動する可能性があります。
さらに、これらに加え、必要に応じて養生材や仮設照明などの仮設費用、安全柵や警備員などの安全対策費用が計上されるケースが多いでしょう。
実際に必要な人数や日数、車両の種類などは、キュービクルの規模や設置環境によって大きく異なるため一概には言えません。例えば、屋外で車両を横付けできる場所に設置されている小規模なキュービクルであれば、ユニック車(クレーン付きトラック)1台と作業員3~4人いれば1日で完了できる場合もあります。この場合は、撤去工事そのものは20万円程度で納まるかもしれません。
一方で、大規模工場の1,000kVAを超えるような大型キュービクルを地下の電気室から搬出するような内容であれば、人力で大掛かりな搬出作業が必要となり、数百万規模の工事になる可能性もあります。
産業廃棄物処理費用
撤去したキュービクルの大部分は産業廃棄物として処分しなければなりません。行政が処分してくれる一般廃棄物と違い、産業廃棄物は排出事業者が自らの責任で処分するため、高額な処分費がかかるケースがあります。
産業廃棄物は品目が決められています。キュービクルを分別した場合に排出される産業廃棄物の品目は、主に以下の品目です。
- 金属くず
- 廃プラスチック類
- ゴムくず
- ガラス・コンクリート・陶磁器くず
- 廃油(絶縁油等)
このうち、鉄や銅などの金属くずは、リサイクルできる有価財として買い取ってもらえる可能性があります。しかし、その他の品目については、有償で引き取ってもらうことは難しいため、適切な許可を受けた廃棄物処理業者に委託して処分することになります。
処分にかかる費用はキュービクルの規模によりますが、運搬・処分を合わせると、十数万円~数十万円程度はかかると考えておきましょう。
また、PCBやアスベストが含有していた場合には、特別管理産業廃棄物となり、運搬・処分の方法がより厳しいものとなります。特にPCBについては自治体への届出も必要です。そのため、処分にかかる費用は非常に高額なる可能性が高いでしょう。
PCBが含有している油入トランスでは、トランス1台で処分費が数百万円にもなり、非常に高額になります。なお、PCBの処分は、国や自治体から処分費の補助が受けられる場合があります。自治体に届出を行う際に合わせて相談してみるとよいでしょう。
キュービクル撤去にかかるその他の費用
キュービクルの撤去費用には、「撤去工事費用」と「産業廃棄物処理費用」以外にもいくつかの費用が必要です。また、状況によって追加で費用が発生する可能性もあります。
コスト削減のポイント
キュービクルの撤去は、新規設置ほどではないものの、大きな費用がかかります。そのため、できる限りコストダウンを図りたいものです。ここでキュービクルの撤去におけるコストダウンのポイントを紹介します。
適切な業者選定
キュービクルの撤去費用は、キュービクルの規模や設置環境により価格が大きく変動します。そのため、実際の価格を知るためには、業者に依頼し見積もりを取得する方法が一番です。
見積もりを複数社から取得し、比較検討することで、適切な工事内容や価格帯を知ることができます。見積もりを比較する場合は以下の点に注意するとよいでしょう。
- 工事内容が明確になっている
- 撤去から処分までの内容が網羅されている
- 内訳が細かく分かれており、内容がわかりやすい
不明な点は業者に質問し、明確な回答が得られるか確認します。特に追加費用が発生する可能性や産業廃棄物の処分方法などコンプライアンスに関る点はしっかり確認しておきましょう。
中古販売・リサイクルの活用
キュービクルは高額な電気機器であるため、まだ使用できる状態であれば中古で販売できる可能性があります。中古販売が可能であれば処分費が不要となり、さらにキュービクルを販売した分の利益を撤去費から差し引くことができます。
キュービクル本体がすでに使用できない場合も、変圧器など一部の機器を再利用できるケースもあります。機器が再利用できない場合は、分別を行うことで金属類(鉄・銅)を有償で引き取ってもらえる場合もあります。
多くの場合、長期間利用したキュービクルの買い取りを依頼してもそれほど高額になることはありません。しかし、高額な産業廃棄物の処分費がなくなればコストダウンの効果は大きいため、事前に確認しておきましょう。
まとめ
キュービクル撤去は、安全性の確保や法的な手続き、適切な廃棄物処理など、多岐にわたる対応が必要な工事です。単なる撤去・処分だからと安易に考えると、重大なコンプライアンス違反となる可能性があります。
撤去費用は高額であるため、できる限りコストダウンしたいと考えるのが一般的でしょう。一方で、安全管理など工事の品質や不法投棄などコンプライアンス上の問題があるため、価格だけでなく信頼できる業者に依頼することが重要です。
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