キュービクル設置工事における安全対策!事故のない現場管理を目指そう

キュービクル設置工事は、高圧電気を扱う特殊性と重量物の設置という二つの危険要素を併せ持つ工事です。事故のない現場管理のためには、作業員の安全確保には特段の注意を払う必要があり、事前の十分な準備と計画に基づいた作業実施が不可欠です。

この記事では、キュービクル設置工事における安全対策について、工事の流れに沿って解説します。

事前準備段階での安全対策

まずは、実際の作業に入る前に確認しておくべきポイントを紹介します。基本的な内容ですが、確認を忘れると重要な問題になりかねないポイントですので注意しましょう。

作業計画の策定

作業計画は工事の安全性を大きく左右する重要な段階です。設置場所の状況を十分に考慮し、具体的な作業手順を決定していきます。

作業計画は、各工程の作業手順や安全対策までできる限り具体的に作成し、実際に作業を行う前に、従事する作業員に教育を行うことが重要です。

また、クレーン作業や高圧電気工事については、有資格者の適切な配置が不可欠です。実際に作業員名簿を作成し、有資格者以外が作業することがないように管理をしましょう。

作業内容必要な資格
クレーンの操縦クレーン・デリック運転士移動式クレーン運転士小型移動式クレーン技能講習
玉掛け作業玉掛け技能講習
高圧電気工事第一種電気工事士
キュービクルの試験・調整第一種(二種・三種)電気主任技術者

ここで上げた資格は主要なものだけです。工事内容によっては他の資格が必要なケースもあるため、しっかり確認してください。

使用機器の確認

作業に使用する機器や工具類は、事前の点検と整備を徹底します。機器や工具類に不良があると、故障により作業が中断するだけでなく、重大な事故の原因となります

クレーン車などの重機は、定期検査記録の確認から作業当日の点検まで、段階的な確認を徹底しましょう。リースする場合も、リース会社に任せきりにするではなく、施工管理の担当者がきちんと確認することが大切です。

また、作業員が着用する保護具や安全帯などの保護具も、使用期限や損傷の有無を確認します。使用期限が切れた保護具は、見た目は問題なくても劣化により必要な強度が保証されません。

現場環境の確認

キュービルの搬入経路は、実地での確認が不可欠です。道路幅や路面状態、障害物の有無を詳細にチェックし、特にカーブや傾斜のある箇所では、搬入車両やクレーンの進入可否を慎重に判断します。

設置場所周辺の環境確認も重要です。地下埋設物や架空線の位置を確認し、必要に応じて防護措置を講じます。作業スペースについては、クレーンの設置場所や資材置場を含めて十分な広さを確保します。また、周辺の通行者や車両に対する安全対策も考慮に入れる必要があります。

重機を据え付けや仮設設備の設置は、事前に配置計画図を作成し、合わせて作業場所を隔離するための囲いや警備員の配置など安全対策を検討しましょう。

基礎工事における安全対策

キュービクルを設置するには、基礎が必要です。基礎は別工事で設置されている場合もありますが、キュービクル設置工事に含まれる場合もあります。

掘削作業の安全確保

屋外にコンクリート基礎を設置する場合は、まず掘削作業が必要です。重機を使用した掘削では事故のリスクも高いため注意しましょう。

掘削作業では、作業範囲の明確な区分けが重要です。掘削範囲を明示し、関係者以外の立入を禁止するとともに、必要に応じて仮囲いなどの設置も検討します。

油圧ショベル(ショベルカー・ユンボ)を使用する場合は、原則としてアームの旋回範囲に立ち入ってはいけません。

特に注意しなければならないのは掘削部分の崩落です。掘削深さや土質に応じて適切な勾配を確保し、必要に応じて土留め工事を実施します。土留め材の選定では、土圧や施工期間を考慮し、十分な強度を持つものを使用します。

コンクリート工事の実施

コンクリート工事では、型枠の設置から打設まで、各段階での安全確保が必要です。基礎工事は、コンクリート工事としては小規模なものですが、それでも事故がないとは限りませんので、油断がないようにしましょう。

型枠は、コンクリートの重量と施工時の衝撃を考慮し、十分な強度を持つよう設計します。設置後は確実な点検を行い、コンクリート打設時には型枠の崩壊がおきないよう、打設速度を管理し型枠に過大な圧力がかからないよう配慮します。

打設時は、足場が悪いことが多いため、転倒に注意し、作業員が安全に作業を進められるように打設の順番を決めておくとよいでしょう。

搬入・据付工事の安全対策

キュービクルは大型で重量のある機器のため、搬入・据付時に衝突や挟まりなどの事故が発生するリスクがあります。

クレーン作業の実施

キュービルの搬入・据付工事では、クレーン作業が最も重要な工程となります。クレーンの選定には、キュービルの重量や作業半径を考慮し、十分な余裕を持った機種を選択します。

クレーン作業時は以下のポイントに注意しましょう。

  • クレーンの最大荷重と吊上げ重量を確認する
  • 地盤の支持力を確認し、必要に応じ敷鉄板などを設置する
  • アウトリガーは最大まで張出す
  • 周辺構造物と適切な離隔距離をとる
  • アームの旋回範囲、特に荷の下への立ち入り禁止措置を行う

作業中にクレーンが転倒したり、荷が作業員と接触したりすると、重要な事故につながるため、十分な安全対策が必要です。

玉掛け作業の安全

クレーン作業時にセットで必要となる玉掛け作業も、事故リスクの高い作業です。そのため、玉掛け作業は、有資格者が行うことが義務付けられています

ワイヤーロープなどの使用機材は、キュービルの重量に対して十分な強度を持つものを選定し、作業前に損傷や摩耗がないことを確認します。

また、重心位置を考慮した玉掛け方法を選択し、荷崩れ防止の措置を確実に行うことが重要です。特に、キュービルの形状や重量バランスを考慮し、安定した吊り上げが可能な玉掛け位置を選定します。

クレーンによる据付作業の実施

クレーンによる据付作業では、アンカーボルトの位置や寸法の入念な確認が必要です。キュービル降下時には、誘導ロープを使用して方向を制御し、周辺設備との接触を防止します。また、降下速度は十分に制御し、着地時の衝撃を最小限に抑えます。

人力運搬時の安全対策

設置場所の状況によってクレーンが使用できない場合には、人力での搬入・据付が必要となります。重量のある機器を人力で動かすため、手足の挟み込みや転倒した機器の下敷きになるといったリスクが考えられます。

作業手袋や安全靴などの保護具を確実に着用し、慎重に作業を行うことが求められます。複数人で同時に作業する場合はお互いに声掛け・合図を徹底し、協力して作業を行いましょう。

また、重量物を扱う身体への負荷は非常に大きいため、過度な負荷により健康被害が出ないように配慮することも大切です。

キュービクルの電気工事における安全対策

高圧の電気は、適切に工事を実施しないと重大な事故につながる可能性があります。そのため、高圧受電設備の一種であるキュービクルの電気工事は、第一種電気工事士の資格が必要です。また、工事の実施に当たっては感電対策など十分な安全対策が求められます。

高圧電気工事の注意点

高圧電気工事は、電気工事において危険性の高い作業の一つです。万一感電事故が発生すると、高い確率で死亡事故となります。そのため、作業前には、必ず検電を行い、確実に接地を施しましょう。

高圧ケーブルの端末処理作業では、手順を遵守し、一つ一つの工程を確実に実施します。端末処理が適切に行われないと、高圧電流の通電時に絶縁破壊などの重大な事故原因となります。

作業環境の整備も重要です。足場は安定した構造のものを使用し、作業床は十分な広さを確保します。キュービクル内は十分な明るさが確保しづらいため、仮設照明を用意し、細かい作業が確実に行えるよう適切な明るさを確保します。

電気工事の安全対策

電気工事全般において、次の安全対策を徹底します

  • 活線作業は原則禁止する
  • 作業前の検電を確実に実施する
  • 作業区域は明確に区分する
  • 絶縁手袋などの防護具を適切に使用する

電気は目に見えないため、作業前に毎回確認しないと、間違えて通電中の設備に触れて感電する危険があります。特に高圧電流は直接触れなくても接近すると放電により感電する場合もあるため危険です。

作業環境の整備

最後にすべての工程で共通する作業環境の整備について紹介します。

資材置場は作業の進行に応じて整理し、不要な物は速やかに撤去します。作業スペースには不必要な機材・工具は持ち込まないようにし、定期的に清掃を行って、常に整理整頓された状態を保つことが重要です。

通路は常に安全な幅員を確保し、つまずきや転倒の危険がないよう維持します。特に、資材の搬入経路は、不要な物品は撤去しなるべく広い幅員を確保することが望まれます。

作業環境の維持管理は事故防止の基本ですので、常に目を光らせて徹底するようにしましょう

安全対策を徹底して事故のない現場管理を目指そう

キュービクル設置工事は、時として人命にかかわる重大な事故リスクを秘めています。しかし、徹底した安全管理を行えばそのリスクは限りなく低くすることが可能です。

ここまで紹介した安全対策は、基本的な内容ばかりですので参考にしてください。なお、現場の状況に応じて、さらなる対策が必要となる場合もあります。

キュービル設置工事の安全確保には、関係者全員の安全意識の向上が不可欠です。適切な工事計画を立てるとともに、安全教育を行い、安全対策が確実に実施される体制を作ることが大切です。

安全対策を徹底して事故のない現場管理を目指しましょう。

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