キュービクルは、工場、商業施設、大規模オフィスビルなどにおいて、安定した電力供給を実現するための重要な設備です。
キュービクルの設置にあたっては、安全性の確保と運用効率の最適化という二つの大きな課題に取り組む必要があります。
この記事では、これらの課題に効果的に対応するために必要なチェックポイントを具体的に解説します。
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キュービクル設置の一般的な流れ
キュービクル設置のチェックポイントを説明する前に、まずは簡単にキュービクル設置の流れを確認しておきましょう。
キュービクルの設置は、一般的に以下の流れで行われます。もちろん実際には複数の工程が同時に進行したり、進捗により前後したりすることもあるため、あくまで参考と考えてください。
- 事前調査・基本計画・基本設計
- 設置場所の確認と施工計画の策定
- 関係官庁・電力会社との事前協議
- キュービクルの制作
- 基礎工事
- キュービクル設置工事
- 調整・検査
- 関係官庁・電力会社への申請・届出
- 運転開始
まずは、キュービクルを設置する施設の電力需要や設置可能な場所の確認など、基本的な情報を調査し、基本計画・基本設計を作成します。
基本計画で設置場所が決定したら設置場所を詳細に確認します。設置場所が屋内か屋外かなど、設置場所の環境はキュービクル本体の仕様にも影響する重要な情報です。また、設置場所までのキュービクルの搬入経路を確認し、搬入方法も検討しておきます。
ここまでの事前準備が完了したら、いよいよキュービクルの詳細な設計を行います。キュービクルはメーカーごとの仕様もあるため、詳細設計は発注先のメーカーが行う方法が一般的でしょう。その後、関係者でキュービクルの仕様を確認し、問題がなければキュービクルの制作です。
現地では、まずキュービクルを設置するための基礎工事を行います。その後、工場から現場に搬入したキュービクルを設置し、調整・検査を経て問題がなければ運転開始となります。
キュービクルの運転には法令で定められた保安体制の確保や関係官庁への届出、電力会社との契約が必要です。これらの手続きは、工事の進捗に合わせて抜けがないように確実に行っていきます。また、工事の途中や完了後に問題が発生しないように事前協議を行い、調整を図っておきましょう。
キュービクル設置のチェックポイント
一般的な流れがわかったらキュービクル設置の重要なポイントを紹介していきましょう。
電力需要を正確に把握したキュービクルの容量選定
キュービクルは施設全体に安定した電力を供給するための電気設備です。そのため、最初の計画段階で施設の電力需要を正確に見積もり、さらに将来の拡張性なども考慮した設計にする必要があります。
すでに稼働している施設であれば、実際の電力使用状況を確認すれば正確な電力需要を把握することができます。しかし、運用開始前の施設における電力需要は、所定の計算や技術者の経験により想定する必要があります。
キュービクル容量が不足すると、必要な電気設備を使用することができなくなるなど、安定した電力供給ができません。一方で、過剰な容量で設計すると無駄なコストがかかることになってしまいます。
想定需要電力の算出については、一般的に用いられる手順があり、当サイトの記事でも紹介しているため参考にしてください。
キュービクル容量の決め方とは?調べ方から選定のポイントまで解説
設置場所の選定基準
キュービクルの設置場所は、安全かつ効率的な設置工事のために非常に重要なポイントとなります。また、運用開始後のメンテナンス性や修理・更新時の作業性にも大きな影響を与えるため、慎重に検討しましょう。
ここで、キュービクルの設置場所を選定する場合のポイントを紹介します。
キュービクルの周囲に十分なスペースが確保できる
キュービクルは大型の電気設備であるため、設置には一定のスペースが必要です。ただキュービクルが納まればよいというだけでなく、法令等で定められた離隔やメンテナンスのためのスペースがなければいけません。
キュービクルの離隔距離は、操作を行う面が1.0mに加え保安上有効な距離、点検を行う面が0.6m以上、換気口を有する面は0.2m以上と定められています。しかし、これは最低限度のスペースであり、実際には周囲に1.5m~2m程度のスペースがあることが望ましいと言えるでしょう。
また、火災予防条例によって、安全上必要な離隔距離が定められているため、確認が必要です。
キュービクルの離隔距離!法律での規定やメンテナンススペースについて解説
キュービクルを設置可能な強度がある
キュービクルは数百キロから数トンの重量があります。屋内に設置する場合は、床がその重量に耐える強度があるか、建物全体の荷重強度は十分かを検討する必要があります。
また、屋外に設置する場合は、地盤の強度が足りないと沈下により重大な事故になる可能性もあります。
キュービクルや重機の搬入経路が確保できる
キュービクル設置において、重要な課題のひとつがキュービクルの搬入です。キュービクルは大型の金属箱でできているため、一定の搬入経路が確保できなければ設置場所に搬入することができません。
また、重量のあるキュービクルを設置するためのクレーンなどの重機が入れるかも重要なポイントです。重機が使用できない場合は人力での設置となり、設置工事により多くの人員と作業時間が必要となります。
例えば、屋外にキュービクルの設置場所があり、ユニック車を横付けして車両からクレーンで設置場所に直接キュービクルを降ろせる場合は、非常にスムーズに設置工事が完了するでしょう。一方で、屋内の地下に設置するため、人力で階段を使ってキュービクルを搬入する必要がある場合は、非常に困難な作業となることが予想できます。
また、搬入経路は工事中だけでなく、運用開始後の保守にも重要です。よくある事例として、工事中は搬入経路があったが、その後、壁や大型の設備が設置され搬入経路がふさがれるということがあります。しかし、変圧器など大型の機器を交換する場合や、寿命によりキュービクル本体を更新する場合など、搬入経路がなければ作業ができません。
このように、搬入経路はキュービクル設置工事でも、その後の運用でも非常に重要な役割があるためしっかりとした検討が必要です。
屋外・屋内設置の検討
キュービクルは、耐候性の屋外設置型を使用することで、屋外に設置することも可能です。屋内に専用の電気室を設けて設置することもあります。また、屋上に設置している例も多く見られます。
これらの設置場所は、それぞれメリット・デメリットがあります。
場所 | メリット | デメリット |
屋外 | 屋内のスペースが不要搬入・設置・保守作業が比較的容易増設や改修が比較的容易 | 耐候性の高い仕様が必要周辺環境の影響を受けやすい劣化が早い傾向がある |
屋内 | 周辺環境の影響を受けにくい温度管理が比較的容易劣化が遅い傾向がある | 屋内に専用のスペースが必要搬入・設置・保守作業が比較的困難増設や改修が比較的困難 |
屋外設置では、屋内に専用のスペースを設ける必要がなく、搬入・設置作業も比較的容易にできるメリットがあります。また、屋内に比べてスペースが確保しやすい場合が多いため、保守作業や将来的な増設などにも対応しやすいでしょう。
一方で、天候や周辺環境の影響を受けやすく、屋外型のキュービクルであっても劣化が早い傾向があると言えるでしょう。野生動物が浸入する獣害や雨漏りによる事故などのリスクもあります。
屋内設置では、周辺環境の影響を受けにくく、換気設備や空調設備を使った温度管理などもできるため、設備が劣化しにくいというメリットがあります。
一方で、建物内に電気室などの専用のスペースを設ける必要があり、建設コスト増加の要因となります。また、搬入や設置が困難でキュービクル設置工事のコストも増加する傾向があるでしょう。
敷地や建物の形状、周囲の環境などを考慮し、建築設計などとも調整しながら検討する必要があります。
必要な申請・届出
キュービクルの設置・運用には関係官庁や電力会社に届出・申請が必要です。必要な手続きを怠ると、設置の遅延や法的な問題が発生し、最悪の場合、設備の稼働ができなかったり、電力会社からの電力供給が受けられなかったりするリスクがあります。
事前に必要な書類や手続きを確認し、スムーズに進行できるよう事前協議を実施するなど、入念な準備が求められます。不明な場合は関係機関にきちんと確認しておくことが重要です。
以下にキュービクル設置で必要な主な手続きを紹介します。
主任技術者及び保安規定の届出
キュービクルを設置した事業者には、電気事業法及び関連法令によって、以下の義務が発生します。
- 保安規定の作成・届出・遵守
- 主任技術者の選任・届出
キュービクルは、電力供給の安全に関る重要な設備であり、事故が発生すると設置されている施設だけでなく、周辺地域も巻き込んだ波及事故となるリスクがあります。そのため、キュービクルの管理には厳しい保安体制の確保が求められるのです。
このため、工事中・設置後の運用中を問わず保安規定の作成・届出・遵守、主任技術者の選任・届出を行わなければなりません。
自社で電気主任技術者の資格を持った主任技術者の選任ができない場合は、外部委託により選任することになるので、設置前に委託先となる事業者を決めておく必要があります。
消防署への電気設備設置届
火災予防条例により、キュービクルを設置する7日前までに所轄消防署に電気設備設置届を届け出ることが定められています。届出は設置前に行う必要があり、手続きが遅れると工事が遅延する原因となるため注意しましょう。
上記は一般的な内容ですが、火災予防条例はあくまで条例であるため、自治体により内容が異なることがあります。実際に届出にあたっては所轄消防署に事前に確認しておくと安心です。
電力会社との事前協議及び契約手続き
キュービクルを設置するためには、事前に電力会社と協議を行い、設置予定のキュービクルを含めた施設内の電気設備を届け出て、各種法令や電力会社の規定に合致しているか確認を受ける必要があります。
そのうえで、電力会社から電力の供給を開始する受電日や、受電に向けた工事の内容などを調整し、工事を進めていくことになります。
電力会社と契約して電力供給を受けることができなければ、キュービクルを設置しても意味がないため、電力会社との協議は非常に重要です。電力会社の審査には時間がかかる場合もあるため、計画のできる限り早い段階から相談を始めておくことをおすすめします。
キュービクルの設置に必要な許可と届け出・申請のポイントを解説!
工事の安全管理
キュービクル設置工事中は、作業員の安全を確保し、事故防止するため、安全管理を徹底する必要があります。
キュービクルは重量物であるため、挟まれや倒れこみによる事故には特に注意しましょう。また、クレーンなどの重機では、立ち入り禁止の範囲を明確にし、接触事故がないように管理を徹底することが重要です。
高圧の電力を受電してからは、感電や漏電による事故にも注意しなければなりません。高圧電力での感電事故は死亡リスクが高く、重大な事故に発展しやすいことから特に注意が必要です。
この他、保護具の着用徹底、KY活動の実施など、建設工事・電気工事における安全管理の基本を守って、事故のない工事の完遂を目指しましょう。
受電前の試験・調整・検査
キュービクルの設置が終わったら、電力会社から高圧の電力を受電する前に、設置したキュービクルや施工に問題がないか検査を行います。
一般的に、受電前の検査を行うのは、専任された電気主任技術者です。目視による各種設備の点検、高圧回路の絶縁耐力試験をはじめとした各種試験を実施します。
自主検査の実施は電気事業法に定められた法的義務であるとともに、事故のない安全な受電のためには必須の工程のため、必ず実施するようにしましょう。
引き渡し後の保安体制
キュービクルを設置した事業者には、キュービクルを安全に運用する義務があります。電気事業法に基づき、保安規定を作成し、主任技術者を選任して、適切な保安体制を構築しなければなりません。
キュービクル設置後に、工事業者から顧客にスムーズに引き渡しを行うには、維持管理を行う主任技術者が工事中の保守も合わせて実施した方が良いでしょう。
そのためには、設置工事の早い段階から運用時の保守管理体制の検討をはじめ、実際の設置工事が始まる頃には主任技術者が決まっている必要があります。
保安体制は、キュービクルの安全な運用には欠かせないものですから、忘れずに行うようにしましょう。
まとめ
キュービクルは電力供給の要となる電気設備です。そのため、電力の安定供給、事故のない安全性の確保が重要となります。
一方で、大型で高額な電気設備であるため、イニシャルコスト・ランニングコスト共に一定のコストを見込む必要があり、効率性やコスト面も重要です。
キュービクルの設置にあたっては、それぞれの建物の特性や利用者のニーズを考慮し、安全性と効率性の両面からの検討が必要と言えるでしょう。
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