キュービクルの隔離距離とは?消防法との関係性も合わせて解説

キュービクルは、受変電設備の1つです。建物の屋上や駐車場の隅などに設置されていることが多く、高圧受電が必要な箇所の多くはキュービクルが設置されています。

設置時は、消防認定品や消防準拠品など消防法に適合した適切な隔離距離を保つことが義務づけられています。

この記事では、キュービクルの隔離距離について、消防法との関係性と合わせて解説します。

消防法によるキュービクルの規制

消防法(消防用設備などで設ける非常電源を除く)では、変電設備に対して、政令で定める条例制定基準に基づき、各市町村条例で変電設備(全出力20キロワット以下のものを除く)の位置・構造・管理について定められています。

このとき、各市町村は消防庁が示す火災予防条例(例)を参考に火災予防条例を制定する必要があります。キュービクル関連の位置(隔離距離)に関しては後述しますので、ぜひ参考にしてみてください。

キュービクルの隔離距離について

キュービクルや非常用発電機は、それぞれで隔離距離を設けることが決められています。ここからは、屋内・屋外設置のキュービクル、非常用発電機、変圧器の隔離距離について詳しく解説します。

屋内に設置するキュービクル

屋内にキュービクルが設置されている場合、金属箱の周囲との保有距離、他造営物または物品との隔離距離は、以下の表の通りです。

保有距離を確保する部分保有距離(m)
点検を行う面0.6m以上
操作を行う面扉幅※+保安上有効な距離
溶接などの構造で換気口がある面0.2m以上

※1:溶接などの構造は、溶接又はねじ止めなどにより堅固に固定されている場合をいう。
※2:※箇所に関して、扉幅が1m未満の場合は1mとする。
※3:保安上有効な距離とは、人の移動に支障をきたさない距離を指す。

点検面・操作面・換気口がある面で壁面や周囲との隔離距離が異なることがお判りいただけたかと思います。

屋外に設置するキュービクル 

屋外にキュービクルを設置している場合、建築物等との隔離距離や金属箱周囲の保有距離は、以下の通りです。(火災予防条例(例)第11条)

1. 屋外に設けるキュービクル式受電設備(消防長が火災予防上支障がないと認める構造を有するキュービクル式受電設備は除く。)は、建築物から3m以上の距離を保つこと。ただし、不燃材料で造り、又はおおわれた外壁で開口部のないものに面するときは、この限りでない。

2. 金属箱の周囲の保有距離は、1m+保安上有効な距離以上とすること。ただし、隣接する建築物等の部分が不燃材料で造られ、かつ、当該建築物等の開口部に防火戸その他の防火設備が設けてある場合にあっては、屋内設置のキュービクルの隔離距離に準じて保つことができる。

消防長が火災予防上士証がないと認められる構造を有するキュービクル式受電設備の例は、以下の通りです。

  • 消防庁告示第 7 号「キュービクル式非常電源専用受電設備の基準」に適合するもの
  • (一社)日本電気協会の認定品及び推奨品。

屋内設置のキュービクルの隔離距離に関しては、前項の内容を参考にしてみてください。

非常用発電機の隔離距離

火災予防条例(例)第12条(内燃機関を原動力とする発電設備)において、発電設備の位置、構造及び管理の基準が定められています。この基準は、常陽・非常用に関わらず、全ての発電設備が対象です。(移動用発電設備は除かれるものと解釈される。)

非常用発電設備の位置に関して以下のように定められています。

  • 屋外に設ける発電設備(消防長(消防署長)が火災予防上支障がないと認める構造を有するキュービクル式のものを除く。)は、建築物から3m以上の距離を保たなければならない。
    ※ただし、不燃材料で造り、又はおおわれた外壁で開口部のないものに面するときは、保たなくてもよい。
  • 屋外に設ける発電設備の位置、構造及び管理の基準は、屋内に設ける発電設備の位置、構造及び管理の基準の規定を準用する。

また、発電装置や制御装置の隔離距離は、以下の表の通りです。

距離を確保する箇所保安距離
[1] 発電機及び内燃機関相互間1.0m以上
周囲0.6m以上
操作盤操作面1.0m以上
点検面0.6m以上。但し、点検に支障とならない部分については、この限りではない。
換気を有する面0.2m以上
キュービクル式の周囲操作面1.0m以上
点検面0.6m以上。但し、キュービクル式以外の変電設備、蓄電池設備、又は建築物等と相対する部分については、1.0m以上
換気を有する面0.2m以上

変圧器の隔離距離

変圧器 とは、電圧を変える(変圧する)ための電気機器のことです。JISでは、「電力を送る目的で用いられ、電磁誘導作用によって、ある交流電圧及び電流の系統から同一周波数で電圧及び電流が異なるほかの系統に電力を変成し、鉄心及び二つの巻線から構成される静止誘導機器」とされています。

変圧器やコンデンサー、それらに類する電気機器の隔離距離は、以下の表の通りです。

保有距離を確保する部分保有距離(m)
点検を行う面0.6m以上※点検面が相互に面する場合は1.0m以上
その他の面0.1m以上

キュービクルの耐震設計

キュービクルの耐震設計は 、地震入力を設定して建築物各所の機器・配管などの支持固定部材に加わる力を計算し、その値が支持固定部材の許容応力度内にあるか耐力判定することで支持固定設計を行う許容応力度法が用いられています。想定される地震の力に対し、設備の損傷・移動・転倒などの発生防止がキュービクルの耐震対策の基本です。

キュービクルの移動・転倒・部品の飛び出し・破損対策は、以下の通りです。

  • キュービクルは、基礎にアンカーボルト等で堅固に取り付ける。
  • 外部との接続部は、端子部に大きな荷重が掛からないようにする。

アンカーボルトとは、キュービクルを固定して地震などによる移動・転倒を防止する役割を持つボルトです。耐震対策でも重要な役割を担っており、点検時には、スパナなどでアンカーボルトに変形・著しい腐食・損傷・ナットの緩みがないことの確認が大切であるとされています。

まとめ

キュービクルは、設置状況に対して適した隔離距離(保有距離)を確保しなければなりません。ただし、屋外・屋内で隔離距離の詳細は少し異なります。非常用発電機やキュービクル内に設置される電気機器の1つである変圧器なども隔離距離を保って設ける必要があります。

キュービクルは現在、高圧受電している多くの建物で目にしますが、闇雲に設置していいというわけではない点を把握しておくとよいでしょう。

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