ビルや工場、商業施設などで使われている「キュービクル(高圧受電設備)」は、高圧で受電した電力を建物内で使える電圧に変換する重要な設備です。
しかし、
- 事業所の閉鎖・移転
- 建て替えや改修
- 高圧受電契約から低圧契約への切り替え
- 老朽化による更新
といった理由で、「もう使わなくなったキュービクル」を抱える企業も多いのではないでしょうか。
そんなときに問題になるのが「処分費用」です。キュービクルの撤去や廃棄には高額なコストがかかるため、悩みの種になりがちです。
実はそのようなとき、「キュービクルを買取してもらう」という方法があります。状態が良ければ、中古として再利用されることもあり、処分費を抑えるだけでなく、現金化できる可能性もあります。
この記事では、キュービクルの買取仕組みや流れ、買取対象となる条件、依頼時の注意点まで、専門知識がなくてもわかるように解説します。
目次
そもそもキュービクルとは?
まずは簡単に「キュービクルとは何か」を整理しましょう。
キュービクルとは、電力会社から6,600Vなどの高圧電力を受け取り、建物内で使う100V・200Vの低圧電力に変換するための設備です。
- 変圧器(トランス):電圧を下げる装置
- 遮断器(ブレーカー):過電流を遮断
- 計器類:電力の計測・監視を行う装置
- 制御盤や配線:電気の流れを制御する部品
これらの機器を金属製の箱(キュービクル)内にまとめることで、屋外や屋上でも安全に設置できるようになっています。
ビル・工場・店舗などで高圧受電契約を結んでいる場合、ほぼ必ずキュービクルが設置されていると言えるでしょう。
H2 不要になったキュービクルの処分方法
不要になったキュービクルをどう処理するかは、多くの企業が直面する課題です。
代表的な方法は次の3つです。
- 産業廃棄物として処分
- 金属くずとして売却
- 中古買取業者に売却
それでは、それぞれの特徴を見てみましょう。
産業廃棄物として処分
産業廃棄物処理業者に依頼して廃棄する方法です。最もオーソドックスな方法ですが、コスト面では大きな負担となります。
キュービクルは大型の電気設備であるため、運搬費・処理費は、総額で数十万円〜100万円超えと高額です。
産業廃棄物は、排出事業者に処分の責任があり、運搬・処分の許可を持った業者と直接委託契約を結んで処分する必要があります。また、マニフェスト(管理票)を発行し、処分場で適切に処分されたことを確認しなければなりません。
電気工事会社などに撤去工事を依頼すれば、工事を行った業者が排出事業者となり、代わりに処分してもらうことも可能です。しかし、運搬費・処理費が高額であることには変わりません。
金属くずとして売却
キュービクルの筐体や内部の機器は、多くの鉄や銅を使って作られています。これらの金属は、再利用可能な資源として、売却することが可能です。
金属くずとして買い取ってもらえば、処分費が節約できるだけでなく、売却による利益を得ることもできます。
しかし、鉄や銅などの価値がある金属と、その他の部材の解体・分別が必要です。また、金属以外の部分は別途産業廃棄物として処分することになります。そのため、売却益で必ずプラスになるとは限りません。
中古買取業者に売却
状態が良いキュービクルは、中古買取業者に売却することも可能です。売却したキュービクルは中古市場で再利用されます。
また、解体して部品だけ使用したり、使用できない部分はまとめて金属くずとして使用するなど、様々な方法で活用できるため、状態が悪いキュービクルでも買い取ってくれる場合もあります。
廃棄コストを払うどころか、買取金額を得られる場合もあるため、非常にお得な処分方法と言えるでしょう。
キュービクル買取のメリットとデメリット
不要なキュービクルの処分する場合に、中古買取業者に売却するメリット・デメリットを見てみましょう。
キュービクル買取のメリット
キュービクル買取の主なメリットは以下の通りです。
- 処分費用を大幅に削減できる
- 再利用されることで資源を有効活用できる
- 撤去・買取が一括で依頼できる
- 廃棄証明書などの書類対応もスムーズ
最大のメリットは処分費用を大幅に削減できることでしょう。大きな金額ではないとはいえ、売却による利益を受け取ることもできます。
また、中古買取業者がキュービクルを撤去・運搬してくれることにより、処理が1度に完了する点も大きなメリットです。産業廃棄物のような複雑な事務処理も不要で、担当者の負担も少なく住むでしょう。
キュービクル買取のデメリット
キュービクル買取の主なデメリットは以下の通りです。
- 買取不可の可能性がある
- 現地調査や査定などの時間がかかる
買取を依頼しても、必ず買取対象になるとは限りません。査定の結果、買取対象外となるケースもあります。
中古買取業者の現地確認や査定の時間もかかるため、すぐに処分したい場合は時間的に間に合わないケースもあるでしょう。売却を検討する場合は早めの対応が重要です。
キュービクル買取の流れ
中古キュービクルの買取は、キュービクルの中古販売業者や一部の電気工事会社が行っています。
一般的な流れは以下の通りです。
①査定依頼
設備の写真や型式、製造年などを送って査定を受けます。
②現地確認
業者が実際に現地を訪れ、状態や撤去の可否をチェックします。
③買取金額の提示
設備の年式や容量、再販価値をもとに金額が決定。
④撤去・引き取り
電気工事士が安全に取り外し、運搬します。
⑤代金の支払い
引き取り後、指定口座へ振り込みが行われて取引完了。
つまり、処分と買取が同時に完了する仕組みです。産業廃棄物の処分のような事務処理も不要で、担当者側の手間が少なく、スムーズに進められる点が大きなメリットです。
買取対象になるキュービクルの条件
キュービクルの中古市場があると言っても、すべてのキュービクルが買い取られるわけではありません。販売可能なキュービクルに求められる一般的な条件を説明します。
製造から20年以内
キュービクルの法定耐用年数は15年です。また、実際に使用できる寿命は20年程度と言われています。
もちろん、使用条件やメンテナンス次第では20年を超えて使用できるケースもあります。しかし、中古買取となると、寿命を超えたキュービクルは買取対象外となってしまいます。
外観・内部の状態が良好
使用期間が短くても、使用環境などによって劣化が進んでいるケースは少なくありません。そのため買取前には、現地でキュービクルの査定が行われます。
サビや腐食が少なく、内部機器が破損していないものは評価が高くなります。保守点検がしっかりされていると査定額も上がる傾向です。そのため、査定の際には点検の記録も用意しておくとよいでしょう。
一方で、腐食で筐体に穴が開いていたり、内部の機器が破損していたりすると、価格が下がったり、買取対象外と判断されたりすることがあります。
一般的な容量帯・設備の規模
キュービクルが買取対象となるには、中古市場で需要がある必要があります。そのため、あまりに小規模・大規模なキュービクルや、特殊な機能が付加されたキュービクルは買取対象外となってしまうのです。
300kVA・500kVAなど、需要が多い容量のキュービクルは再利用されやすく、中古市場での価値がつきやすい傾向があります。一方で2,000kVAなどの大型キュービクルでは、需要が少ないため規模の割に価格がつきにくいでしょう。
H3 PCB(ポリ塩化ビフェニル)を含まない
古いトランスやコンデンサにはPCBを含むものがあります。PCBは人体に有害な危険物質として、法令で厳しく規制されているため注意が必要です。
PCB入りの機器は法律で転売禁止のため、もしPCBが含まれていれば、中古販売はできません。違反した場合は、法令違反となり行政処分や刑事罰の対象となる可能性もあります。
キュービクルの買取を依頼する際の注意点
キュービクルの買取を依頼する場合の主な注意点をまとめました。依頼を検討する場合に注意しましょう。
無資格業者に注意
キュービクルは高圧電気設備のため、撤去には電気工事士の資格が必要な場合があります。資格を持たない業者に依頼すると、感電事故や法令違反のリスクがあり危険です。
買取を依頼する場合は、「電気工事まで自社対応できる中古買取業者」を選びましょう。
PCBの有無を確認
PCB入りの機器は転売・譲渡禁止です。含有の有無が不明な場合はメーカー名・型式・製造番号で確認しなければなりません。
機器のラベルに「NON PCB」「PCB不使用」などと表示されている場合でも、製造時に意図せず混入している場合や、設置後のメンテナンスで混入している場合があるため、安易に判断することはできません。
自社で判断できない場合は、PCBの含有を確認し、不含有の証明を発行してくれる業者に相談しましょう。
見積もりは複数社で比較
買取金額や撤去費は依頼する業者によって大きな差が出ます。そのため、1社だけで決めず、2〜3社に相見積もりを取ると安心です。
キュービクルの「買取」で賢く処分を
不要になったキュービクルを単に廃棄すると、多額の撤去費・処理費がかかってしまいます。しかし、状態が良好であれば、中古として再利用される資産でもあります。
買取を活用すれば、
- 処分費を削減できる
- 資源を有効に再利用できる
- 手続きもスムーズ
というメリットが得られます。
「古いけれどまだ使える」「撤去予定だがもったいない」
そんなキュービクルをお持ちなら、まずは無料査定を依頼してみましょう。専門業者に相談することで、安全かつお得にキュービクルを手放すことができるかもしれません。

