キュービクル設置にかかるコストの見積もりのポイント|導入前に知っておきたい実務知識

事業拡大や新規施設の開設に伴い、50kWを超える大きな電力を必要とする場合、キュービクルの設置を検討することになります。キュービクルは高圧で電力を受電し、使用する電力に変換する設備で、大規模施設の電力供給に欠かせないものです。

しかし、キュービクルの設置には数百万円から場合によっては数千万円にもおよぶ初期投資が必要となります。この費用は、機器本体だけでなく、基礎工事や電気工事、各種申請手続きなど多岐にわたるため、一般のユーザーが正確な金額を把握することは困難です。

そこで「思っていたより高額だった」という事態を避けるためにも、事前に適切な見積もりを取得することが重要です。

本記事では、キュービル設置コストの見積もりを取るためのポイントについて解説します。

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キュービクルとは

キュービクルとは、高圧受電設備を金属製の箱(キュービクル)に収めた屋内外設置型の電気設備です。高圧(6,600V)の電力を受電し、変圧器(トランス)によって一般的に使用される低圧(100V/200V)に変換する役割を担っています。

  • 工場・倉庫施設
  • オフィスビル
  • ホテル・旅館
  • 商業施設・テナントビル
  • 医療施設・福祉施設
  • 学校・公共施設

キュービクルは上記のような契約電力が50kW以上の施設で検討されることが多く、電気事業法に基づいた設置・管理が義務付けられています。従来のオープンタイプの受電設備と比較して、省スペース化が図られ、工期も短縮できるというメリットがあります。

法令上、キュービクル設置には電気主任技術者による監督が必要とされており、自社で有資格者を雇用するか、外部の電気保安管理会社に委託することが必要です。また、定期的な点検・報告も義務付けられています。

キュービクルとは?意味や役割・メリットなど、わかりやすく解説します!

設置コストの見積もりの内訳と相場

キュービクルの設置コストは大きく分けて以下の5つに分類されます。

  • 機器本体価格
  • 基礎工事費
  • キュービクル設置工事
  • 電気工事費
  • 諸経費・申請手続き費用

それぞれの内訳について詳しく見ていきましょう。

機器本体価格

キュービクル本体の価格は、設備の容量や仕様、メーカーによって大きく異なります。

標準仕様のキュービクルは、メーカーがあらかじめ設定した規格で製造されるため、比較的コストを抑えることができます。一方、施設の特性や将来的な拡張性を考慮したカスタム仕様では、設計費用も含めて割高になる傾向があります。

キュービクル本体価格を決める最も基本的な要因は、電気容量(施設の規模)です。以下に目安となる相場を紹介します。

規模構成・特徴相場価格
小規模施設用50~100kW程度変圧器は単相3線式、三相3線式各1台変圧器容量が小さく、機器点数も少ない100〜300万円
中規模施設用100〜300kW程度複数の変圧器又は大容量の変圧器を搭載低圧側の配電盤も充実400〜800万円
大規模施設用
300~500kW程度
大容量変圧器の複数搭載高度な保護装置や監視システムを内蔵オーダー設計が多い1,000万円以上

ここで紹介した相場価格は、あくまでメーカー標準を基本とした目安です。実際に導入する条件によって異なるため、正確な価格は見積もりを取得して確認しましょう。

キュービルの価格表!電気容量や仕様ごとの本体価格相場を紹介

基礎工事費

キュービクルは重量物(数トン)であるため、安定して設置するためには基礎が必要です。基礎工事には以下のような費用が発生します。

工事内容相場価格
コンクリート基礎工事現地でコンクリートの基礎を作る型枠・鉄筋の組み立てキュービクル用のアンカーボルト設置コンクリート打設・養生30万〜150万円
乾式基礎・鉄骨基礎工場製の基礎を組み立て・設置30万〜150万円
地盤調査・補強工事地盤が軟弱な場合は補強が必要
傾斜地では追加の土木工事が発生
20万〜50万円

基礎工事費は、地域や施工条件(新築・既設、屋内・屋外)によって大きく変動します。特に既設建物への後付けの場合、既存設備との取り合いなどで追加工事が発生しやすくなります。

キュービクル設置工事

工場で製作したキュービクルを現場に搬入し、組立・据付を行います。キュービクルの搬入は、設置場所の条件により難易度が大きく異なります。

屋外の車両を横付けできる場所であれば、クレーン付きのトラックで搬入し、そのままスムーズに設置することができるでしょう。一方で地下や高所の電気室内に人力で搬入する場合は、必要な作業員も多くなり工事費が高くなるはずです。

一般的な相場は30万~100万円程度ですが、搬入が困難な場所や重機が使用できない場所に設置する場合は、さらに追加の費用がかかる可能性があります。

キュービクルの設置・交換前に知っておきたい!本体価格・設置費用から納期まで

電気工事費

キュービクルの据付が完了したら、電力会社からの高圧引込線工事や構内の配線などの電気工事を行い、キュービクルが使用できる状態にします。

工事内容相場価格
高圧引込線工事電柱からキュービクルまで高圧ケーブルを敷設し、キュービクルに接続する距離や工法(架空・地中)、ケーブルサイズによって費用が変動50万〜300万円
構内配線工事キュービクルから各分電盤への配線を接続する施設の規模や複雑さによって大きく変動条件により大きく変動
接地工事電気を安全に使用するため接地を行うA種、B種、C種、D種接地の施工10万〜30万円

電気工事費は、施工難易度や使用する材料(ケーブルの太さや種類など)によっても変動します。特に、既設建物の改修の場合は、既存配線との取り合いや仮設対応などで追加費用が発生することがあります。

諸経費・申請手続き費用

キュービル設置には様々な法的手続きや申請が必要で、これらにも費用がかかります。

  • 電力会社への申請・協議費
  • 官公庁への申請費用
  • 工事監理費
  • 試験・調整費

これらの諸経費は、地域や電力会社によっても変動することがあります。また、工期が長引いた場合は監理費用も増加する可能性があります。

キュービクルの設置に必要な許可と届け出・申請のポイントを解説!

キュービクルの設置コストの相場

キュービクルの本体価格は、概ね電気容量に比例し、大きな電力を使用する施設ほど高額になります。また、その他の工事などにかかる費用は、条件により大きく変動するものの、本体価格の50~100%の範囲に納まるケースが多いでしょう。追加工事が必要ない標準的な条件のキュービクルの設置コストの見積もり相場は以下のようになります。

規模相場価格
小規模施設用(50~100kW程度)150〜600万円
中規模施設用(100〜300kW程度)600〜1600万円
大規模施設用(300~500kW程度)1,500万円~5,000万円

ただし、キュービクル設置工事にかかる費用は条件により大きく変動します。実際にはこれよりも高い金額になることも珍しくありません。そのため、実際の価格を知るためには専門業者による見積もりが必要不可欠です

キュービクル設置工事の相場は?
設置・交換前に知っておきたい!
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建物の条件による価格の変動要因

キュービクルの設置コストは、建物の条件によっても大きく変動します。ここで、代表的な価格の変動要因を紹介します。

新築と既設建物の違い

新築建物の場合は、設計段階からキュービクル設置を考慮できるため、最適な配置が可能です。他の設備工事と同時進行できるため、工期の短縮や共通仮設費の削減が可能で、ケーブルルートの確保も比較的容易でしょう。

一方で、既設建物に設置する場合は、既存設備との取り合いを検討する必要があり、場合によっては既存設備の移設などの追加工事が発生する場合もあります。また、限られたスペースへの配置となるため、搬入・施工が困難になる場合も多いと言えます。

このため、一般的にキュービクルの設置コストの見積もりは、既存建物への設置の方が高くなる傾向があると言えるでしょう。

屋内型と屋外型の違い

キュービクルには耐候性・防雨性能などにより屋内型(標準型)と屋外型があります。

屋外型キュービクルは耐候性や防水性能が求められるため、本体価格が10〜20%高額になります。また、本体が重くなる傾向があり、基礎工事もより強度が求められる傾向があります。

しかし、屋外型であれば、専用の電気室を設ける必要がなく、場所の確保や搬入・据付作業が行いやすい場合が多いため、総合的なコストや運用後の維持管理なども考えて選択するようにしましょう。

設置スペースと搬入ルート

設置スペースと搬入ルートは、キュービクルの設置コストの大きく影響します。

余裕ある設置スペースや搬入ルートが取れない場合、特注の小型キュービクルや分割搬入が可能なキュービクルが必要となる場合もあります。

キュービクルの離隔距離!法律での規定やメンテナンススペースについて解説

設置コストの見積もりの注意点

適切なコストでキュービクルを設置するためには、見積もりの取得方法と比較検討が重要です。以下のポイントに注意しましょう。

複数社から相見積もりを取得

キュービクルの設置コストの見積もりを取得するときは、複数社から取得して比較検討することが重要です。少なくとも3社以上の見積もりを取得することをおすすめします。

1社だけでは見積もりの内容が適切か判断できない場合でも、複数の見積もりを比較することで、工事の内容、内訳、相場価格といった重要なポイントを把握することができます。

見積もり依頼時は、同じ仕様・条件で依頼することで正確な比較が可能になります。主要メーカーだけでなく、地域の実績ある電気工事会社も検討対象に入れると良いでしょう。

見積書の内訳を確認する

見積書はできる限り項目が細かく明記され、内容が読み取れることが重要です。

大項目記載内容
機器費用の詳細キュービクル本体のメーカー・型式主要機器(変圧器、遮断器など)の仕様オプション機能の有無や仕様
工事費用の詳細基礎工事・設置工事・電気工事ごとの内容と費用
諸経費各種申請・協議費用

「一式」表記は避け、具体的な内容と金額の明記を求めましょう。特に追加工事が発生しやすい項目(基礎工事、引込工事など)は詳細化を依頼することが重要です

項目が細かく明記されていれば、見積もりを比較するときにも、工事内容に差異がないか確認することができます。

アフターサービスの確認

価格だけでなく、導入後のサポート体制も重要な選定基準です。特に業務クリティカルな施設では、迅速な故障対応体制が整っているかを確認しましょう。

工事後の不具合・瑕疵に対する保証の範囲や期間は見積もり段階で明確にし、契約書等の文書に明記するようにします。

また、キュービクルを設置すると、法令により管理の責任者である電気主任技術者を選任し、定期点検や緊急時の対応を行う保守体制を整備しなければなりません。自社で専任の技術者がいない多くの企業では、これらの保守は外部に委託することになります。

運営開始後の保守も委託できるのか、又は委託先を紹介してもらえるのかといった点も確認しておくとよいでしょう。

キュービクルの設置コストの見積もりは複数社の比較が必須!

キュービクルの設置コストは、施設の規模や用途によって費用は大きく異なります。また、同じ規模でも、カスタム仕様の度合いや設置環境の条件によってコストが変動するため、実際の価格を知るためには、専門業者による見積もりが必要不可欠です。

キュービクルの設置コストの見積もりを取得する場合は、少なくとも三社以上の見積もりを取得し、詳細を比較することで適切な相場や工事内容を把握することができるでしょう。

特定の電気工事業者が決まっていない、複数社に同条件の見積もりを依頼することが難しいと感じられる場合などは、一括見積サービスの利用をおすすめします。

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