設備の老朽化による更新、事業所の廃止や移転、事業規模の縮小など、さまざまな理由でキュービクルが不要になるケースがあります。多くの企業では「不要になったキュービクルは撤去して廃棄するもの」と考えがちですが、実は買取してもらえる可能性があることをご存知でしょうか。
キュービクルの撤去と廃棄処分には、撤去工事費用と産業廃棄物処理費用がかかり、合計で数十万円から百万円以上の費用が発生することも珍しくありません。しかし、買取という選択肢を選べば、処分費用を削減できるだけでなく、場合によっては収益化できる可能性もあります。
この記事では、キュービクル買取の基礎知識から、買取価格の決定、買取の流れ、注意すべきポイント、業者選びのコツまで、初めて買取を検討する経営者や担当者の方にもわかりやすく解説します。
目次
そもそもキュービクルは買取してもらえるのか?
キュービクルが中古で買取してもらえるという認識がない方は多いでしょう。まずは、中古キュービクルの買取の概要を説明します。
なぜキュービクルが中古市場で取引されているのか
キュービクルは新品で購入すると数百万円から数千万円という高額な設備です。そのため、初期費用を抑えたい企業や、短期的な使用を想定している企業にとって、中古キュービクルには一定の需要があります。
特に、製造から数年以内の比較的新しいキュービクルや、メンテナンスが行き届いた状態の良いものは、中古市場でも活発に取引されているのです。また、キュービクル全体を使用できない場合でも、変圧器や遮断器などに分解して機器ごとに再利用するケースもあります。
キュービクルを構成する金属材料にも価値があり、再利用やリサイクルの観点からも買取対象となります。単純に廃棄するよりも、再利用できる設備として流通させることで、資源の有効活用にもつながるのです。
買取対象になりやすいキュービクルの特徴
買取が可能なキュービクルには、いくつかの共通する特徴があります。
- 製造からの期間が短く概ね10年以内
- 定期点検やメンテナンスが適切に行われ、状態が良好
- 需要が多い容量や仕様のキュービクル
まず、製造から10年以内の比較的新しいキュービクルは高値で買取される傾向があります。法定耐用年数が15年程度とされていることから、残存耐用年数が長いほど需要が高くなります。
次に、定期点検やメンテナンスが適切に行われており、状態が良好なキュービクルです。点検記録が残っていることで、買取業者も安心して評価でき、買取価格が上がる要因になります。
また、需要の多い容量や仕様のキュービクルも買取対象となりやすいです。特に50kVAから300kVA程度の中小規模の容量は汎用性が高く、需要が多いため買取されやすい傾向があります。
買取が難しいケース
一方で、製造から15年以上経過した古いキュービクルや、錆や腐食が進行している状態の悪いもの、特殊な仕様でカスタマイズされすぎているものは、買取が難しいケースがあります。
また、PCB(ポリ塩化ビフェニル)を含む古い機器は、法規制により譲渡が禁止されているため、買取ではなく適切な廃棄処分が必要になります。
キュービクル買取と廃棄処分のメリット・デメリット
キュービクルの処分にあたって、買取と廃棄処分のメリット・デメリットは以下の通りです。
| メリット | デメリット | |
| 買取 | コストが抑えられる資源の有効活用になる | 買取の手間・期間がかかる買取不可となるケースがある |
| 廃棄処分 | 手間・期間が抑えられる確実に処分が可能 | 撤去・処分の費用がかかる |
キュービクルを廃棄処分する場合、主に撤去費用と産業廃棄物処理費用の2つが発生します。
撤去費用は、キュービクルの規模や設置状況によって異なりますが、一般的に30万円から100万円程度必要です。屋上設置の場合や搬出経路が複雑な場合は、さらに費用が増加します。
産業廃棄物処理費用は、キュービクルの重量や含まれる材料によって変わりますが、数十万円から数百万円かかることも珍しくありません。特にPCBを含む古い機器の場合は、特別管理産業廃棄物として高額な処理費用が必要です。
これらを合計すると、小規模なキュービクルで数十万円以上、大型のものでは100万円を超える処分費用が発生することになります。
キュービクルを買取に出す場合、状態や需要によって買取価格が決定されます。買取価格は数万円から、状態の良いものでは数十万円、場合によっては100万円以上になることもあるのです。
また、買取業者が撤去も含めて対応してくれる場合、撤去費用と買取価格を相殺する形で取引されることが多く、実質的な処分費用を大幅に削減できます。
仮に買取価格が付かない場合でも、撤去費用のみで引き取ってもらえれば、産業廃棄物処理費用を節約できるため、廃棄処分よりもコストを抑えられることがあります。
一方で、買取にはキュービクルの状態確認、査定などの時間が必要で、査定後に買取不可という結果になることもあります。撤去の期日が決まっているなど、確実な処分が必要なケースでは、買取の利用が難しいケースもあるでしょう。
キュービクル買取価格の相場と決まり方
キュービクルの買取でまず気になるのは買取価格でしょう。しかし、中古キュービクルの買取価格は明確な相場がありません。ここで、買取価格がどのように決まるのか簡単に説明します。
明確な定価がない理由
キュービクルの買取価格には、自動車や家電のような明確な相場が存在しません。これは、キュービクルが受注生産品であり、容量や仕様、メーカー、製造年、設置環境などが個体ごとに大きく異なるためです。また、中古市場での需要も時期や地域によって変動するため、同じようなキュービクルでも買取価格が異なることがあります。
キュービクルの買取価格は、買取業者の持つ経験や市場の情報から算定されるため、買取を検討する場合には、まず買取業者に査定を依頼することになります。
買取価格に影響する主な要素
買取価格が決まるには、いくつかの要因があります。ここで、主要なものを紹介しましょう。
製造年
製造から5年以内の新しいキュービクルは高値が付きやすく、10年を超えると買取価格は下がる傾向があります。15年以上経過すると、買取自体が難しくなることもあります。
電気容量(kVA)
50kVAから300kVA程度の中小規模の容量は需要が多く、買取されやすいです。極端に小さい容量や、逆に大容量すぎるものは、汎用性が低く買取価格が下がる傾向があります。
点検・メンテンナンスの記録
キュービクルは、法令により電気主任技術者による定期点検が定められています。また、定期点検で不具合が見つかれば、部品交換などのメンテナンスも必要です。
これらの点検やメンテナンスが適切に行われ、記録が残されていれば、買取業者も安心して買取をすることができます。
設置環境・状態
屋内設置で風雨の影響を受けていないもの、定期点検が適切に行われているもの、錆や腐食が少ないものは高値が付きやすくなります。
逆に、屋外設置で劣化が進んでいるものや、海沿いで塩害の影響を受けているものなどは買取価格が下がります。劣化がひどい場合は買取不可となることもあるでしょう。
買取前に確認しておきたいキュービクルの情報
買取業者に査定を依頼する場合、事前に情報を整理しておくと手続きがスムーズになり、余計なトラブルも少なくなります。ここで、買取前に確認しておきたいキュービクルの情報を紹介します。
銘板で分かる基本情報
キュービクルの前面や側面には、メーカーや仕様が記載された銘板(プレート)が取り付けられています。この銘板から以下の情報を確認できます。
- メーカー名
- 製造年月
- 型式・型番
- 容量(kVA)
- 定格電圧
買取査定を依頼する際は、この銘板の写真を撮影して業者に送ると、スムーズに査定を進めることができます。
図面・仕様書の有無
キュービクル設置時の図面や仕様書などが残っている場合は、査定時に提示すると買取価格がプラスになる可能性があります。これらの書類があることで、買取業者は設備の詳細を正確に把握でき、再販時の説明資料としても活用できるためです。
ただし、書類がなくても買取自体は可能なケースが多いので、紛失している場合でも諦めずに相談してみましょう。
現地写真で見られるポイント
買取業者に査定を依頼する際、以下のような写真を用意すると査定がスムーズに進みます。
- キュービクル全体の正面写真
- 側面・背面の写真
- 銘板のアップ写真
- 錆や損傷がある部分の写真
- 設置環境(屋内・屋外、周辺スペース)がわかる写真
ただし、事前に写真を送ったとしても、最終的な買取価格の決定には、現地での査定が必要となるケースが多いでしょう。
H2キュービクル買取の一般的な流れ
実際にキュービクルの買取を依頼した場合の一般的な流れを紹介します。
Step1:問い合わせ・査定依頼
まず、キュービクル買取を行っている業者に問い合わせをします。電話やメール、Webフォームなどで連絡し、キュービクルの基本情報(メーカー、製造年、容量、設置場所など)を伝えます。
Step2:現地確認・写真査定
業者によって、現地に訪問して実物を確認する場合と、写真や資料を送付して査定する場合があります。写真査定の場合、前述の銘板や設備全体の写真を送ることで、概算の買取価格を提示してもらえます。
より正確な査定を希望する場合や、高額な取引が見込まれる場合は、現地訪問による詳細査定を依頼しましょう。写真査定では、現地で撤去工事を行う際に新たな不具合などが見つかり、トラブルとなるケースもあるため注意が必要です。
Step3:買取価格提示
査定が完了すると、業者から買取価格が提示されます。この際、買取価格だけでなく、撤去費用の有無、支払い条件、引き渡しまでのスケジュールなども確認しましょう。
複数の業者から見積もりを取っている場合は、条件を比較して最も有利な業者を選びます。
Step4:契約・撤去・引き渡し
買取価格や条件に納得したら、契約を締結します。契約後、撤去作業の日程を調整し、実際の撤去工事が行われます。
撤去作業には停電が必要になるため、事前に施設内の関係者への周知や、電力会社への連絡などが必要です。この点については、買取業者がサポートしてくれることも多いですが、自社でも確認しておきましょう。
撤去完了後、キュービクルの引き渡しが完了し、買取代金が支払われます。支払いは現金または銀行振込が一般的で、タイミングは業者によって異なりますが、引き渡し後数日から数週間以内が一般的です。
キュービクル買取で注意すべきポイント
キュービクルの買取でトラブルにならないように注意すべきポイントをまとめました。
別途工事との連携
事業所の廃止などによってすでに使用していないキュービクルの買取を依頼する場合は、買取業者に依頼すれば特に問題ありません。しかし、実際には新しいキュービクルへの更新や低圧受電への切り替えといった工事の中で、キュービクルが不要になるケースも多いでしょう。
このような場合は、キュービクルの撤去は買取業者が行うのか、それとも電気工事業者が行うのかなど、様々な事前調整が必要となります。
撤去費が別途かかるケース
買取価格が提示されても、それが撤去費用込みなのか別途なのかを必ず確認してください。例えば「買取価格30万円」と提示されても、「撤去費用50万円」が別途かかれば、実質的には20万円の支払いが必要になります。
見積もりを比較する際は、最終的な手取り金額(または支払い金額)で比較することが重要です。
契約前に必ず確認したい項目
契約前には以下の項目を必ず確認しましょう。
- 買取価格の内訳
- 最終的な手取り金額または支払い金額
- 撤去工事の範囲とスケジュール
- 停電の必要性と時間
- 電気主任技術者の手配はどちらが行うか
- 支払い条件(タイミング、方法)
- キャンセル料の有無
- 万が一のトラブル時の責任範囲
これらを書面で明確にしておくことで、後のトラブルを防ぐことができます。
キュービクル買取業者の選び方
キュービクルの買取は専門性が高いため、信頼できる買取業者を選ぶ必要があります。
電気設備に強い業者を選ぶ重要性
キュービクルは専門性の高い電気設備です。買取業者を選ぶ際は、電気設備の知識と経験が豊富な業者を選ぶことが重要です。単なる中古設備買取業者や金属スクラップ業者よりも、電気設備専門の買取業者の方が、適正な価格評価をしてくれる可能性が高くなります。
業者のWebサイトや実績を確認し、キュービクルの買取実績が豊富かどうかをチェックしましょう。
買取+撤去を一括対応できるか
買取だけでなく、撤去工事も含めて一括で対応できる業者を選ぶと、手間が省けます。別々の業者に依頼すると、連絡窓口が増え、スケジュール調整も複雑になります。
ワンストップで対応できる業者であれば、買取から撤去、引き渡しまでスムーズに進められます。
見積・説明の分かりやすさ
見積もり内容や説明が分かりやすい業者を選びましょう。専門用語ばかりで説明が難解な業者よりも、素人にも理解できるように丁寧に説明してくれる業者の方が信頼できます。
質問に対して誠実に答えてくれるか、不明瞭な点を明確にしてくれるかも重要な判断基準です。
相見積を取る際のポイント
複数の業者から見積もりを取る際は、同じ条件で依頼することが大切です。キュービクルの情報を統一し、撤去範囲や条件も揃えた上で比較しましょう。
また、価格だけでなく、対応の速さ、説明の丁寧さ、実績なども総合的に判断することをお勧めします。極端に高い見積もりや安い見積もりには、それぞれ理由があるはずですので、その根拠を確認することも大切です。
不要なキュービクルは「処分前」に買取を検討しよう
不要になったキュービクルは、単純に廃棄処分するのではなく、買取という選択肢を検討する価値があります。買取に出すことで、処分費用を削減できるだけでなく、場合によっては収益化できる可能性もあります。
特に、製造から10年以内で状態が良好なキュービクルであれば、高値で買取される可能性が高いため、まずは複数の業者に査定を依頼してみることをおすすめします。古いキュービクルや状態が悪いものでも、金属材料としての価値があれば、処分費用を抑えられる可能性があります。
重要なのは、撤去工事を始める前の段階で買取を検討することです。すでに撤去してしまった後では、買取が難しくなったり、価格が下がったりする可能性があります。
キュービクルの更新や移転、事業縮小などで設備が不要になる予定がある場合は、早めに買取業者に相談し、査定を受けてみましょう。適切な業者選びと条件確認を行えば、想定以上のコスト削減や収益化につながるかもしれません。

